空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。
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雪形
初夏の光に照らされた山々で、残った雪と山肌のコントラストが特定の動物や文字に見えることがあります。こうした現象は「雪形」と呼ばれ、雪解けの進み具合によって毎年春から初夏に現れます。日本では古くから、この雪形の出現を農作業の開始を知らせる季節の目安として利用してきました。
雪形には大きく分けて2つのタイプがあります。周囲の雪が解けて山肌が現れることで形が浮かび上がる「ネガ形」と、山のくぼみに残った雪そのものが形を作る「ポジ形」です。長野県安曇野市から望む北アルプスでは、蝶ヶ岳に現れる「蝶」が有名で、5月上旬から6月上旬ごろに見頃を迎えます。
また常念岳には、袈裟を着たお坊さんが徳利を提げているように見える「常念坊」と呼ばれるネガ型の雪形も現れ、安曇野から見える代表的な雪形の一つです。写真では印をつけたところに、お坊さんが左側を向いているように見える形が見られます。
雪形は、日射の当たり方や地形、雪の厚さなどによって雪解けの進み方が異なることで生まれます。そのため、現れる時期はその年の積雪量や春の気温の推移とも関係しているのです。
まずは自治体のウェブサイトなどを参照して、近くの雪形スポットを調べてみてはいかがでしょうか。
写真/フォトライブラリー
監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。
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YouTube文/太田 絢子 Ayako Ota気象予報士・防災士・気象防災アドバイザー。これまでNHK松山やCBCテレビにて気象解説を務め、防災気象情報や地球温暖化に関する講演・執筆活動も行う。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 天気の話』(日本文芸社)など。2023年10月よりアメリカ・ロサンゼルスに在住。
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Instagram●参考文献/安曇野市『雪形』URL:https://www.city.azumino.nagano.jp/soshiki/32/10316.html、富山市科学博物館『雪形』URL:https://www.tsm.toyama.toyama.jp/_ex/public/wadai/butsuri/no217.htm