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遠州茶道宗家・若宗匠、小堀宗以さんと学ぶ 伴頭(はんとう)の務め 第4回

2026.04.29

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遠州茶道宗家・若宗匠、小堀宗以さんと学ぶ 京都・大徳寺での4年間の修行を終え、実家である遠州茶道宗家に戻られた小堀宗以さん。若宗匠の歩みを追う連載の4回目では、献茶の心得および伴頭の役割について学びます。前回の記事はこちら>>

第4回 伴頭(はんとう)の務め

小堀宗以(こぼり・そうい)
1997年に遠州茶道宗家十三世家元長男として生まれる。大学卒業後、大徳寺龍光院で1年間修行。小堀月浦和尚に「宗以」の号を授かる。翌年、僧堂に掛塔し3年間修行。2024年より、遠州茶道宗家若宗匠として活躍。

2025年5月に大徳寺塔頭孤篷庵で行われた「遠州忌茶会」で伴頭を務める若宗匠。厳かな空気の中でお茶を運ぶ若宗匠を、参加者が静かに見守っている。伴頭は天目台と呼ばれる台の両脇を持ってお茶を運ぶ。

2025年5月に大徳寺塔頭孤篷庵で行われた「遠州忌茶会」で伴頭を務める若宗匠。厳かな空気の中でお茶を運ぶ若宗匠を、参加者が静かに見守っている。伴頭は天目台と呼ばれる台の両脇を持ってお茶を運ぶ。


「献茶」とは、茶道の家元が神仏に一碗のお茶をお供えする行いです。遠州流茶道では、流祖・遠州公を偲ぶ茶会「遠州忌茶筵(ちゃえん)」などで、家元が献茶を行います。その際、私は伴頭としてお茶をお運びします。


京都・大徳寺塔頭の孤篷(こほう)庵は小堀遠州の菩提寺。毎年5月第2土曜日にゆかりの道具を用いた「遠州忌茶会」が行われ、全国から数寄者や門弟らが集う。

京都・大徳寺塔頭の孤篷(こほう)庵は小堀遠州の菩提寺。毎年5月第2土曜日にゆかりの道具を用いた「遠州忌茶会」が行われ、全国から数寄者や門弟らが集う。


「運ぶだけ」というと、簡単に聞こえるかもしれません。しかし伴頭は、一碗のお茶を和尚様や神主様へとお繫ぎし、祈りの心を神仏にお供えする要の役目です。繫ぐ者がいてこそ、献茶は成り立ちます。多くの方の手を経て献じられるその一碗を運ぶとき、その重みはひときわ深く胸に迫ります。

遠州忌の真台子飾り。天板には天目茶碗と茶入が飾られ、左の柱には袱紗が結ばれる。

遠州忌の真台子飾り。天板には天目茶碗と茶入が飾られ、左の柱には袱紗が結ばれる。


献茶を伴う茶会は、「神仏に差し上げたもののお相伴をする」場であります。献茶は最も正式な点前で行われ、すべてに格式と厳粛さが求められます。私が初めて伴頭を務めたのは、十歳のとき、東京での「遠州忌茶筵」でした。前日の準備のさなか、突然、その大役を仰せつかったのです。

当時の私は、献茶の本質を十分に理解していたとは申せません。ただ、場の厳粛な空気と、その中心に立つ自らの責任の重さは、強く感じておりました。周囲の導きに支えられ、なんとか無事に務めを果たしたとき、「差し上げる」という行為の尊さが、静かに胸に刻まれました。後から、父もまた同じように突然伴頭を命じられたと聞き、受け継がれる務めの重みを感じました。

小堀宗実家元が点てたお茶を取り上げる若宗匠。家元は捧げるお茶に息がかからないよう、白い和紙の「へだて」を使用している。

小堀宗実家元が点てたお茶を取り上げる若宗匠。家元は捧げるお茶に息がかからないよう、白い和紙の「へだて」を使用している。


以来、私が伴頭を務める際に大切にしているのは「見えない部分を整える」ことです。人の目に触れないところでこそ、手を清め、心を整える。形を整えることは、そのまま己を整えることに繫がります。

私にとって献茶の心得とは、目に見えぬものへの畏敬と感謝を忘れず、自らの役割を尽くすことにほかなりません。一碗を差し上げる瞬間まで心を尽くすことは、私自身を育ててくれる修養でもあります。(談)

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この記事の掲載号

『家庭画報』2026年05月号

家庭画報 2026年05月号

撮影/本誌・西山 航 構成/富川匡子〈emu〉 文/小松めぐみ

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