空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。
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爆弾低気圧「メイストーム」
5月の穏やかな陽気を一変させるのが、急速に発達しながら日本付近を通過する低気圧、通称「メイストーム(5月の嵐)」です。これらは時に「爆弾低気圧」と呼ばれることもありますが、この言葉は正式な気象用語ではなく、気象庁では「急速に発達する低気圧」と表現します。急速に発達する低気圧は、中心気圧が24時間で急激に低下する現象で、例えば北緯40度付近(秋田付近)では約17.8hPa以上低下する場合が一つの目安です。
メイストームが発生する主な要因は、日本付近に北から流れ込んでくる冷たい空気と、南から流れ込む暖かく湿った空気がぶつかりあうことで、その温度差をエネルギーにして温帯低気圧が発達するためです。さらに、台風と同じように雲が発達する際に出される熱(潜熱)も、低気圧を急速に強める要因の一つといわれています。
温帯低気圧が急発達すると、強い風の吹く範囲が広がる傾向があるほか、沿岸では高波や高潮、内陸では倒木や交通障害などの被害が発生することもあります。
5月は登山や釣り、キャンプなど様々なレジャーを快適に楽しめる季節ですが、天気予報の「急速に発達する低気圧」という言葉には注意が必要です。安全に楽しむためにも、事前に天気の確認を忘れないようにしましょう。
写真/NICT_20200320
監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。
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YouTube文/太田 絢子 Ayako Ota気象予報士・防災士・気象防災アドバイザー。これまでNHK松山やCBCテレビにて気象解説を務め、防災気象情報や地球温暖化に関する講演・執筆活動も行う。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 天気の話』(日本文芸社)など。2023年10月よりアメリカ・ロサンゼルスに在住。
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Instagram●参考文献/気象庁『気圧配置 気圧・高気圧・低気圧に関する用語』URL:https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/haichi1.html、政府広報オンライン『台風並みの暴風となる「春の嵐」「メイストーム」。気象情報や警報・注意報に注意して安全対策を』URL:https://www.gov-online.go.jp/article/201304/entry-7949.html