空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。
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こいのぼりで風速を予想
端午の節句に青空を気持ちよさそうに泳ぐこいのぼりは、5月の風物詩です。こいのぼりをたなびかせるこの時期に吹く爽やかな風は、新緑の香りを運んでくることから「薫風(くんぷう)」と呼ばれます。こいのぼりの一番上には、色とりどりの筒状の布「吹き流し」が付いています。この吹き流しは、高速道路や空港などで風向きや風速を確認するために設置されているものと同様の役割を果たすことがあります。
吹き流しは、布の筒に風が入り込むことで風向と風の強さを視覚的に示す装置です。アメリカ連邦航空局(FAA)の基準では、約3ノット(毎秒約1.5メートル)の風で風向を示し始め、約15ノット(毎秒約7〜8メートル)の風で完全に水平に伸びるよう設計されています。このため、吹き流しが少し動き始めたら弱い風、こいのぼりが大きく膨らんで元気に泳いでいれば、比較的しっかりした風が吹いていると考えることができ、おおよその風速を予測することもできます。
こどもの日は、風の強さを可視化してくれるこいのぼりを眺めながら、その傾きに注目してみてください。風の強さを読み解くことで、目に見えない大気の流れを実感できるはずです。
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監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。
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YouTube文/太田 絢子 Ayako Ota気象予報士・防災士・気象防災アドバイザー。これまでNHK松山やCBCテレビにて気象解説を務め、防災気象情報や地球温暖化に関する講演・執筆活動も行う。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 天気の話』(日本文芸社)など。2023年10月よりアメリカ・ロサンゼルスに在住。
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Instagram●参考文献/FAA『Advisory Circular』URL:https://www.faa.gov/documentLibrary/media/Advisory_Circular/150-5345-27F-Wind-Cone.pdf?utm_source