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雲を初めて分類したのはアマチュアの雲愛好家。芸術の世界にも影響を与えた雲の名付け親

2026.04.25

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空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。 連載一覧はこちら>>

雲の名付け親

空に浮かぶ雲は刻々と姿を変え、さまざまな表情を見せてくれます。そんな雲を初めて分類し、雲の名付け親となったのは、意外にも気象学者ではなく一人の雲愛好家でした。

彼の名はルーク・ハワード(1772~1864年)。イギリスで製薬会社を営むかたわら、気象を独自に研究する熱心なアマチュアの気象学者でもありました。当時の雲の観測は、量や色の記録に留まっていましたが、ハワードが着目したのはその形です。彼は、絶えず姿を変える雲を初めて体系的に分類し、それぞれにラテン語の名称を与えたのです。

1802年に発表された論文『雲の変形に関する試論』において、ハワードは4つの基本的な分類を提案します。髪の毛や馬の毛の房を意味する「シーラス(巻雲)」、塊や山を意味する「キュムラス(積雲)」、層に由来する「ストレイタス(層雲)」、そして雨に由来する「ニンバス(乱雲)」です。これらの名称は、動植物の分類に用いられた命名法が参考にされたといいます。ハワードのこの画期的な試みは後世へと受け継がれ、1896年に発表された『国際雲図帳(International Cloud Atlas)』では、現在使用されているものとほぼ同じ、雲を形と出現高度により大きく10種類に分類した「十種雲形」が示されました。


ハワードによる雲の分類は、気象学だけでなく芸術の世界にも大きな影響を与えました。19世紀のイギリスの画家であるジョン・コンスタブル(1776~1837年)はハワードの研究に触発され、気象学的な視点から雲や空気の動きをよく観察し、それらを絵画の重要な対象として描きました。

ハワードは「人間の心や身体の状態が表情に現れるのと同じように、大気の状態や変化の結果が、雲の形となって現れる」と述べています。雲の形は、大気の状態を知る手がかりになるという考え方は、現代の気象学にも通じています。

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写真/荒木健太郎

写真/荒木健太郎


監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki
雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。XInstagramYouTube

文/佐々木 恭子 Kyoko Sasaki
気象予報士・防災士。合同会社てんコロ.代表。民間気象会社で予報業務を担当、気象予報士受験生向けのスクール主宰。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 天気の話』(日本文芸社)など。XYouTube

●参考文献/『気象学と気象予報の発達史』堤之智著(丸善出版)、『雲の超図鑑』荒木健太郎著(KADOKAWA)

監修/荒木健太郎 文/佐々木恭子 協力/太田絢子、津田紗矢佳、三上萌々

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