春風や闘志いだきて丘に立つ
高浜虚子
選・文=夏井いつき(俳人・エッセイスト)季語には賞味期間がある。春を例にとると、初春・仲春・晩春と使える時期が決まっていて、「春風」のように春の間ずっと使える季語は三春と称される。俳人たちは、季語の細やかな表情を描くために、傍題という関連季語をあみ出した。春を告げる春一番、お彼岸の頃には彼岸西風(ひがんにし)、桜を励ます桜東風(さくらごち)。さて、読者諸氏はこの句の風をどう受けとめるだろうか。鼓舞するような強い風、励ますような優しい風。想起する風の種類だけ、さまざまな闘志がある。
●高浜虚子 俳人(1874~1959)。正岡子規に師事。
俳句の表記は『高濱虛子全俳句集』(上巻)(毎日新聞社/ 1980 年)に準じた。
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