空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。
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深紅の太陽
春の夕暮れに空を眺めると、沈みゆく太陽と同じくらいの高さの低い空は灰色にかすみ、太陽だけが深紅に染まって見えることがあります。このような太陽が見られる原因は、大気中を浮遊する微細なちりであるエアロゾルにあります。 この現象は、青空や朝焼け、夕焼けなどと同様の仕組みで、光の散乱に基づいて起こります。
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空がなぜ青いのかについて読む>>>目に見える太陽の光(可視光)は、空気分子やエアロゾルに当たると、散乱によって日中は青い光が、朝や夕方は赤い光が空に広がり、私たちの目に届きます。
ところが、大気中のエアロゾルが多くなると、赤色の光まで強く散乱されてしまうため、光が弱まります。その結果、地平線付近の低い空は薄暗い灰色となり、目線の直線上にある太陽本体だけが、深い赤色を帯びて浮かび上がるのです。
黄砂や花粉、PM2.5などのエアロゾルが増える春は、深紅の太陽に出合いやすくなります。また、
放射冷却が強まる朝も、同様の太陽が見られることがあります。冷えて重くなった空気が地表面付近に滞留し、上下の空気が混ざりにくくなるため、低い層でエアロゾルの濃度が高まるのです。
花粉の飛散や黄砂の飛来が予想される日は、普段と違う朝陽や夕陽に出合えるチャンスです。日の出直後や、日の入り直前の時刻に合わせて遠くの空を見てみてください。
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写真/荒木健太郎
監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。
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YouTube文/佐々木 恭子 Kyoko Sasaki気象予報士・防災士。合同会社てんコロ.代表。民間気象会社で予報業務を担当、気象予報士受験生向けのスクール主宰。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 天気の話』(日本文芸社)など。
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YouTube●参考文献/『雲を愛する技術』荒木健太郎著(光文社)、国立天文台『各地のこよみ』URL:https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/dni/、『読み終えた瞬間、空が美しく見える気象のはなし』荒木健太郎著(ダイヤモンド社)