空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。
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光風(こうふう)
春から初夏にかけて吹く風には、「光風(こうふう)」と呼ばれる風があります。
光風は、雨上がりの若葉や青葉に残る露に日差しが差し込み、風に揺れるたびにきらめくという情景を映した風の名前です。春先には、立春から春分までの間に吹く「
春一番」と呼ばれる風や、桜を満開へと導く「
花起こし」と呼ばれる風などがあります。いずれも、気温を上昇させる強い南風です。それに対し光風は、穏やかで、特定の風向きはありません。低気圧が発達しやすい冬から春への移行期を過ぎ、高気圧に覆われやすい時期に吹く風と言えるでしょう。
さらに立夏(5月5日頃)を過ぎると、「筍流し(たけのこながし)」や「薫風(くんぷう)」と呼ばれる風が吹くようになります。筍流しは、筍が成長する頃の湿気を含む南風、薫風は新緑の上を吹き渡る爽やかな南風を指し、こうした風が吹くと、季節は初夏へと歩みを進めていきます。
強い風から、穏やかな光風、そして湿り気を帯びた南風へ。変化する風を受け、季節の移ろいを感じてみてはいかがでしょうか。
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監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。
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YouTube文/佐々木 恭子 Kyoko Sasaki気象予報士・防災士。合同会社てんコロ.代表。民間気象会社で予報業務を担当、気象予報士受験生向けのスクール主宰。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 天気の話』(日本文芸社)など。
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YouTube●参考文献/『風と雲のことば辞典』倉嶋厚監修(講談社)、『倉嶋厚の人生気象学』倉嶋厚著(東京堂出版)