空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。
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潮干狩りに適した季節
春休みを迎える頃になると、潮干狩りが家族連れなどに人気のレジャーとなります。
潮干狩りに適しているのは、潮が大きく引く大潮の時期の干潮の時間帯です。潮の満ち引きは月や太陽の引力によって生じ、概ね一日に二度、満潮と干潮を繰り返します。特に新月や満月の前後は「大潮」と呼ばれ、一日の満潮と干潮の潮位差が大きくなります。これは、地球と月、太陽が直線上に並ぶことで、起潮力(引力など潮汐を起こす力)の方向が重なるために起こる現象です。大潮の時期は、干潮時に海水が大きく後退して干潟が広く姿を現すため、潮干狩りに適した状況になるのです。日本では特に、外洋と接する太平洋側の沿岸で引力による潮汐が伝わりやすく、日本海側よりも干満差が大きい傾向があります。
春から夏にかけては、潮が大きく引く干潮の時間帯は昼の間。さらに、潮干狩りで人気のあさりは、場所によって多少異なるものの、4月~5月ごろに旬を迎えます。また、海水温は3月ごろから次第に上昇する一方で、空気は過度に暑くならず、屋外での活動にも心地よい季節です。このような条件が重なることから、春は特に太平洋側の地域で潮干狩りのベストシーズンとなるのです。
潮干狩りに出かける際には、天気予報で天気や気温をチェックするほか、気象庁の潮汐表で満潮・干潮時刻を調べ、沿岸部の波の高さなども確認しておくと、よりよいタイミングで安全に楽しめるでしょう。
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監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。
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YouTube文/佐々木 恭子 Kyoko Sasaki気象予報士・防災士。合同会社てんコロ.代表。民間気象会社で予報業務を担当、気象予報士受験生向けのスクール主宰。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 天気の話』(日本文芸社)など。
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YouTube●参考文献/気象庁『潮位表(関東地方・伊豆諸島)』URL:https://www.data.jma.go.jp/kaiyou/db/tide/suisan/s_kanto.php 、気象庁『潮汐の仕組み』URL:https://www.data.jma.go.jp/kaiyou/db/tide/knowledge/tide/choseki.html 、気象庁『波浪実況・予想図』URL:https://www.data.jma.go.jp/waveinf/tile/jp/#zoom:5/lat:38.272689/lon:138.164063/mapheight:600/colordepth:normal/element:wave、HondaKids『「ふしぎ」な現象 海の水が月や太陽に引っぱられる!?潮の満ち引きのふしぎ』URL:https://www.honda.co.jp/kids/explore/tide/