空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。
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砂塵嵐(さじんあらし)
春に強い風が吹くと、空がうっすら茶色くなったり、遠くの景色がかすんで見えたりしたことはないでしょうか。これは、風によって地面の土や砂が巻き上げられることで起こる現象です。
強風により細かなちりや砂が巻き上げられ、視界が悪くなる現象は「風塵(ふうじん)」、より粒の大きな砂が吹き上げられる場合は「砂塵(さじん)」と呼ばれ、これらが広範囲に及ぶ大規模な現象は、「砂塵嵐(さじんあらし)」と総称されます。
こうした現象は、冬から春にかけて日本海を発達した低気圧が通過するなどして、乾燥した田畑が多くなる地域に強風が吹くことで発生します。
千葉県八街市はその一つで、毎年のように「ヤチボコリ」と呼ばれる風塵が発生している地域です。その主な原因は落花生畑にあります。この時期の畑にはまだ作物が植えられておらず、土壌が露出した状態にあるため、強風が吹くと大量の砂塵が高く舞い上がるのです。特に、大規模なヤチボコリは気象衛星画像からも確認でき、空全体が茶色くかすむこともあります。
砂塵や風塵は、洗濯物を汚したりするほか、目に入ることで眼球を傷つけたり、吸い込むことで呼吸器系に悪影響を及ぼしたりするおそれがあります。もし、風塵や砂塵嵐を撮影する場合は、大量の土や砂がぶつかってくるため、マスクやゴーグルを必ず着用してください。人体だけではなく、カメラにも砂が入らないようにしたり、レンズを傷つけないようにしたりするなどの厳重な対策が必要です。晴天が続いて乾燥している上に、強風が予想される場合には、特に砂や土が舞い上がりやすい条件が整います。十分注意しましょう。
写真/NASA
監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。
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YouTube文/佐々木 恭子 Kyoko Sasaki気象予報士・防災士。合同会社てんコロ.代表。民間気象会社で予報業務を担当、気象予報士受験生向けのスクール主宰。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 天気の話』(日本文芸社)など。
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YouTube●参考文献/気象庁『気象観測の手引き』URL:https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kansoku_guide/tebiki.pdf、『もっとすごすぎる天気の図鑑』荒木健太郎著(KADOKAWA)