空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。
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つばめの飛来と春
春になるといつの間にか、お店の軒下や駅の屋根などに巣を作り、ヒナを育てるつばめの姿を毎年のように見かけます。つばめは、春の訪れを告げる渡り鳥です。
つばめは、冬の間をフィリピンやインドネシアなどの東南アジアで過ごし、春になると子育てのために日本へ渡ってきます。気象庁では、季節の進み具合などの気象状況の推移を知る目的で、桜やアジサイの開花日などを記録する「生物季節観測」を行っています。2020年までは、春に渡来したつばめを初めて見た日として「つばめの初見日」も観測項目の一つでした。
平年では、つばめは3月上旬に九州地方南部に飛来すると、3月末には中国・近畿・北陸地方、4月上旬には東海・関東甲信・東北南部へと北上します。そして、4月下旬には北海道に達します。その北上の様子は、日本列島を北へと進む春そのもののようです。こうして、暖かい季節を日本で過ごしたつばめは、秋になると再び南へと飛び去っていきます。
しかし近年は、つばめの動向にも変化が見られるようになってきました。地球温暖化の影響により、平地で雪が減少したため、冬でも餌を確保しやすくなったことから、日本で冬を越すつばめが観察されるようになったといいます。同様の例は海外にもあり、イギリスでも南アフリカまで渡っていたつばめが国内で越冬するケースが報告されています。
それでもなお、多くのつばめは春になると日本へ戻り、今年もまた私たちに春を知らせてくれるでしょう。これから先も、そんなたくましい姿を見せてほしいものです。
写真/PIXTA
監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。
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YouTube文/佐々木 恭子 Kyoko Sasaki気象予報士・防災士。合同会社てんコロ.代表。民間気象会社で予報業務を担当、気象予報士受験生向けのスクール主宰。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 天気の話』(日本文芸社)など。
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YouTube●参考文献/毎日新聞『温暖化、鳥の分布域に異変 ツバメ越冬、カモ北進 30年ぶり全国調査』、気象庁『生物季節観測の情報』URL:https://www.data.jma.go.jp/sakura/data/、日本科学未来館・科学コミュニケーターブログ『ツバメは冬、どこにいたの?』遠藤幸子 URL:https://blog.miraikan.jst.go.jp/articles/20210408post-409.html 『もっとすごすぎる天気の図鑑』荒木健太郎著(KADOKAWA)、COUNTRYSIDE JOBS SERVICE 『Swallows have started spending the winter in Britain instead of migrating 6,000 miles to South Africa, according to - British Trust for Ornithology』URL: https://www.countryside-jobs.com/article/swallows-have-started-spending-the-winter-in-britain-instead-of-migrating-6000-miles-to-south-africa-according-to