空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。
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星の瞬き
天気にまつわる言い伝えである
観天望気の一つに「星が瞬くと風強し」という言葉があります。これは、星の瞬きは強風の兆しであるという意味です。では、そもそも「星が瞬く」とはどういうことなのでしょうか。
星の瞬きとは、光が点滅しているかのように明るくなったり暗くなったりすることです。上空で温度差(密度差)のある空気の層が何らかの理由で混ざり合うと、「光の乱れ」が生じます。これは、密度差のある空気を通る光の屈折率が不均一になり、星の光が不規則に曲げられるためです。強い風が吹くことで光の乱れが強まることがあり、その結果、星の明るさが変化し、瞬いて見えるのです。
星が瞬いて見える時、上空では強い風が吹いていると考えられます。上空の強風が必ずしも地上の強風に直結するわけではありませんが、上空の風が強いということは、低気圧や前線が西からやってくるサインになっていることもあります。
このことから「星が瞬くと風強し」は、信頼度が高いか低いか微妙な観天望気といえそうです。星が瞬くとすぐさま地上の風が強まるというわけではないものの、天気が崩れるサインになることもあります。その際に、低気圧本体や寒冷前線が接近したら強風になるかもしれない、くらいに考えておくといいかもしれません。
もし普段よりも星が瞬いているように見えたら、それは上空の風が強い証拠です。高い空に雲があれば、動きを確認してみましょう。西から東に動いていたら、
偏西風に雲が乗っていそうです。週間天気予報で天気の変化をチェックしてみましょう。
写真/フォトライブラリー
監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。
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YouTube文/佐々木 恭子 Kyoko Sasaki気象予報士・防災士。合同会社てんコロ.代表。民間気象会社で予報業務を担当、気象予報士受験生向けのスクール主宰。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 天気の話』(日本文芸社)など。
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YouTube●参考文献/天文学辞典『大気ゆらぎ』URL:https://astro-dic.jp/atmospheric-turbulence/、『もっとすごすぎる天気の図鑑』荒木健太郎著(KADOKAWA)、Monthly Notices of the Royal Astronomical Society, Volume 452, Issue 2『Atmospheric scintillation in astronomical photometry』J. Osborn、D. Föhring、 V. S. Dhillon、R. W. Wilson