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古代豪族にルーツをもつ名字「佐伯」。2通りの読み方は分かりますか?

2026.04.08

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墨アート製作/越智まみ

名字の世界 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。連載一覧はこちら>>

難読名字:佐伯(さえき・さいき)

佐伯氏は古代豪族を代表する氏族である大伴氏の一族で、佐伯部を率いて大伴氏とともに軍事でヤマト王権に仕えていました。

その後は宮廷の防御を専門とし、壬申の乱や恵美押勝の乱では活躍するものの、朝廷内では中級貴族にすぎず、奈良時代になると佐伯今毛人、(さえきのいまえみし)が従三位・参議となったくらいで、あまり重用されされませんでした。

そして平安時代には没落し、大嘗会(だいじょうえ)で開門の事を掌り久米舞を奏するなど、朝廷守護の形式的な伝統を保持するのみとなっていました。


しかし、古い一族であることから多くの庶流があり、とくに西日本各地に広がりました。

最も有名な一族は、広島県の厳島神社神官をつとめた佐伯家でしょう。代々厳島神社の神官を世襲する傍ら、一族からは安芸国の在庁官人なども出しています。平安末期には平氏と結び、佐伯景弘は高田郡郡司、三田郷地頭職などを得て大きな力を振るいました。

鎌倉時代以降も祝師職を世襲して野坂家とも名乗り、室町時代には足利氏と結んで勢力を拡大して武士としても力を持って応仁の乱では西軍に属しています。しかし、毛利氏に接近したことから、天文年間に大内氏に攻撃されて滅亡してしまいます。

この他、讃岐国の佐伯氏からは、真言宗の開祖空海が出たことで知られています。

現在「佐伯」は沖縄県以外に広く分布しており、とくに瀬戸内海沿岸と富山県に多くなってます。

また、「佐伯」は読み方が分かれる名字です。本来は「さへき」のため、今でも8割近くは「さえき」と読むのですが、2割強は「さいき」と読み、愛媛県、大分県、佐賀県では「さいき」が多数を占めています。大分県の佐伯市は「さいきし」が正式な読み方となっています。一方、東日本ではほとんどの都道県で95%以上が「さえき」と読みます。

さらに「さえき」「さいき」いずれにしても難読のため、「伯」という漢字の読み方に従って「さはく」と読むこともあります。
森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。

墨アート製作 書家・越智まみ(https://esprit-de-mami.com/
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