空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。
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紫外線
春は、日差しが次第に強まり、紫外線も増えてくる季節です。では、なぜ紫外線は冬に少なく、夏に多くなるのでしょうか。
紫外線は太陽光の一部であり、季節や時刻、天気などによって、地表に届く強さが変わります。紫外線は、太陽高度が高いほど強く、一日のうちでは正午前後、年間では6月~8月が最も強くなります。春は、夏に向かって紫外線量が増していく時期です。
また、紫外線の散乱光にも注意が必要です。光には、空気分子や大気中に浮遊するちり(エアロゾル)に当たると、波長の短い光ほど強く散乱される性質があります。紫外線は、可視光線よりもさらに波長が短いため、より強く散乱されます。そのため、日陰に入って直射日光を避けていても、空が見える場所では紫外線が届いているのです。
紫外線には、殺菌効果があるほか、骨の形成に必要なビタミンDを体内で作る働きもあり、生物にとって欠かせない存在です。一方で、過剰に浴びると、しわやシミの原因になるほか、皮膚がんや白内障などの発症リスクを高めることが明らかになっています。
世界保健機関(WHO)では、「UVインデックス」という指標を用いた紫外線対策の実施を推奨しています。UVインデックスは、紫外線が人体に及ぼす影響の度合いを分かりやすく示すために紫外線の強さを指数化したもので、気象庁のウェブサイトでも確認することができます。指数に応じた紫外線対策として、インデックス3以上では、外出時に日陰を利用し、長袖の着用や日焼け止めを使用すること、インデックス8以上では、できるだけ外出を控えることが勧められています。ちなみに、2025年3月の観測ではUVインデックス3~5の日が多く、3月はすでに対策が必要な時期に入っていることがわかります。
春は、レジャーやスポーツなど、屋外での活動が増える季節です。一方で、気温がまだ穏やかなため、紫外線への警戒心が薄れがちでもあります。紫外線情報を上手に活用し、今のうちから対策しておきましょう。
写真/荒木健太郎
監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。
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YouTube文/佐々木 恭子 Kyoko Sasaki気象予報士・防災士。合同会社てんコロ.代表。民間気象会社で予報業務を担当、気象予報士受験生向けのスクール主宰。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 天気の話』(日本文芸社)など。
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YouTube●参考文献/環境省『紫外線環境保健マニュアル2020』URL:https://www.env.go.jp/content/900410650.pdf、気象庁『紫外線情報(分布図)』URL:https://www.data.jma.go.jp/env/uvindex/index.html?elem=0&area=0&lat=34.2&lng=138.53&zoom=5、気象庁『紫外線の性質』URL:https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/env/uvhp/3-70uvindex_mini.html、気象庁『日最大UVインデックス(観測値)の年間推移グラフ』URL:https://www.data.jma.go.jp/env/uvhp/link_daily_uvindex_obs.html