空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。
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水雲(みずぐも)と氷雲(こおりぐも)
空に浮かぶ雲は、非常に小さな水滴や氷の粒が無数に集まってできています。雲を構成する粒が氷の粒だけなら「氷雲(こおりぐも)」、水滴だけなら「水雲(みずぐも)」とも呼ばれ、見た目で判別する方法があります。
一般に、丸みを帯びた立体的な形で、輪郭が明瞭なら水雲と判断できます。
積雲や
層積雲がこれにあたり、
高積雲や
巻積雲も低温な高い空で過冷却水滴でできた水雲です。大気中には氷の粒の芯になる微粒子がとても少なく、氷点下の空でもなかなか氷ができません。特に、輪郭がモクモクしている見た目の雲では、雲内の強い上昇気流に伴って水滴がまさに形成されていることが読み取れます。
一方、高い空にあって羽毛状や筋状の滑らかな見た目で、輪郭は不明瞭な雲の場合には、氷雲と判断できます。これは、氷の粒でできた雲は水平方向の風の影響を受けて流されやすいためです。
水雲と氷雲とでは、太陽や月の光によって見られる光学現象も異なります。太陽の光を受けることで雲の一部が虹色に輝く「
彩雲」が見られる場合、その雲は水雲と判断できます。また、太陽の周囲に「ハロ」と呼ばれる光の輪が見られる場合は、氷雲である
巻層雲が空に広がっていることが分かるのです。
十種雲形の分類のほかにも、見た目や現れる光の現象の違いから、雲を構成する粒が水か氷かを分類できると、雲への理解が深まり、一層興味深いものになるでしょう。
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写真/荒木健太郎
監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。
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YouTube文/佐々木 恭子 Kyoko Sasaki気象予報士・防災士。合同会社てんコロ.代表。民間気象会社で予報業務を担当、気象予報士受験生向けのスクール主宰。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 天気の話』(日本文芸社)など。
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YouTube●参考文献/『雲の中では何が起こっているのか』荒木健太郎著(ベレ出版)、『すごすぎる天気の図鑑』荒木健太郎著(KADOKAWA)