空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。
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雲ができる仕組み
雲一つなかった青空に、気がつくと綿のような雲がいくつも浮かんでいる、そんな経験はないでしょうか。白い塊のように見える雲は、実際には髪の毛の太さの5分の1ほどしかない、非常に小さな水滴や氷の粒が集まってできています。では、雲はどのようにして生まれるのでしょうか。
雲を構成する水滴や氷の粒のもとになっているのは、空気中に含まれる水蒸気です。私たちの身の回りの空気には、常に多少の水蒸気が含まれていますが、空気が含むことのできる水蒸気の量には限界があります。この限界の量は「飽和水蒸気量」と呼ばれ、空気の温度が高いほど多いという性質があります。つまり、水蒸気を多量に含む空気を冷やすと、保持しきれなくなった水蒸気は液体の水滴へと変わります(凝結)。
実際の大気中では多くの場合、空気の塊が上昇することで膨張し、冷却が起こっています。この過程で重要な役割を果たすのが「気圧」です。
気圧とは、空気が物を押す力のことで、地上付近で最も高く、上空ほど低くなります。そのため、地上の空気が何らかのきっかけで上昇すると、周囲の気圧低下により膨張します。登山や飛行機の中で、菓子袋やペットボトルが膨らむのを目にしたことはないでしょうか。これは、上空ほど気圧が下がるために起こる現象であり、上昇した空気が膨張する仕組みと同じです。
膨張の際に、空気は自らのエネルギーを使ってしまうため、温度が下がります。その結果、水蒸気が凝結し、雲が生まれるのです。
風呂に立ちのぼる湯気や、寒い日に白くなる吐く息も、雲と同じように水蒸気を含む空気が冷えて生じる水滴です。高い空にできる雲にはさわれなくても、私たちは日常の中でごく自然に「雲」と触れ合っているのです。
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写真/荒木健太郎
監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。
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YouTube文/佐々木 恭子 Kyoko Sasaki気象予報士・防災士。合同会社てんコロ.代表。民間気象会社で予報業務を担当、気象予報士受験生向けのスクール主宰。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 天気の話』(日本文芸社)など。
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YouTube●参考文献/『雲の超図鑑』荒木健太郎著(KADOKAWA)