空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。
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皆既月食(1)月食とは
2026年3月3日のひなまつりの夜、空を見上げれば、「皆既月食」という特別な天文現象に出合えます。
そもそも月食は、満月が欠けて見える現象のことです。太陽、地球、そして月が、この順に一直線に並び、月が地球の影に入ることで起こります。太陽の光を受けた地球のほぼ真裏には、「本影(ほんえい)」と呼ばれる色の濃い影が伸びます。本影の周りには、それよりも色の薄い「半影(はんえい)」が広がります。
月食には、主に部分食と皆既食があります。部分食は、月の一部だけが本影に隠れて月が欠けることを指します。一方、月全体が本影に隠れて暗くなる現象を皆既食と呼びます。皆既月食では、部分食から始まり、時間の経過とともに月の欠ける範囲が大きくなり、やがて月全体が本影に入る皆既食までの一連の変化を観察することができます。
地球全体では一年に1~2回程度起こる皆既月食のうち、日本で観察できる機会は数年に一度程度で、次に日本で皆既月食が見られるのは、2029年1月1日です。
前回の皆既月食は2025年9月で、観測できたのは午前3時頃という深夜の時間帯でした。それに対して、2026年3月3日の皆既食の最大は20時30分頃で、観察しやすい時間帯です。前回見逃した方も、家族や友人と一緒に楽しみたい方も、この貴重な夜空をぜひ味わってみてはいかがでしょうか。
写真/荒木健太郎
監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。
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YouTube文/佐々木 恭子 Kyoko Sasaki気象予報士・防災士。合同会社てんコロ.代表。民間気象会社で予報業務を担当、気象予報士受験生向けのスクール主宰。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 天気の話』(日本文芸社)など。
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YouTube●参考文献/国立天文台『月食とは』URL:https://www.nao.ac.jp/astro/basic/lunar-eclipse.html、倉敷科学センター『月食の基礎知識』URL:https://kurakagaku.jp/lunarec/lunarec4/、『もっとすごすぎる天気の図鑑』荒木健太郎著(KADOKAWA)