空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。
連載一覧はこちら>>
樹氷/スノーモンスター
巨大な雪像が集まり、まるで厳かな儀式を執り行っているかのよう──。その神秘的な光景は、「樹氷」と呼ばれる自然現象によるものです。中でも写真のように成長した樹氷は、その佇まいから「スノーモンスター」とも呼ばれています。
樹氷とは、気温が0℃未満でも凍らない「過冷却」の状態の水滴が、樹木などに衝突して瞬時に凍結する「着氷」という現象の一種です。風で運ばれた過冷却の水滴が、木の枝や葉に次々と重なるように凍結していくと、風上側へと成長した「エビのしっぽ」と呼ばれる樹氷に成長します。
樹氷は、日本海側に面した標高の高い山岳地帯のうち、アオモリトドマツやモミなどの針葉樹が生育している場所で見られます。
形成された樹氷にさらに雪が降り積もると、雪は樹氷に付着し(着雪)、固く結びついていきます。やがて樹木全体を覆うようになると、スノーモンスターと呼ばれるものになるのです。
樹氷の名所と言えば、青森県の八甲田山(はっこうださん)や秋田県の森吉山(もりよしざん)、そして山形県と宮城県にまたがる蔵王連峰などが挙げられます。中でも、森吉山ではゴンドラ山頂駅から歩いて5分ほどで、巨大な樹氷群を間近に鑑賞できます。また、写真は蔵王連峰中腹の蔵王温泉付近で撮影されたものです。お出かけの際は、万全の寒さ対策をして、入山時にはマナーを守って楽しみましょう。
写真/フォトライブラリー
監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。
X・
Instagram・
YouTube文/佐々木 恭子 Kyoko Sasaki気象予報士・防災士。合同会社てんコロ.代表。民間気象会社で予報業務を担当、気象予報士受験生向けのスクール主宰。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 天気の話』(日本文芸社)など。
X・
YouTube●参考文献/「雪氷」85巻5号『秋田県森吉山のスノーモンスター』伊藤驍、ANI SKI RESORT『樹氷鑑賞』 URL:https://www.aniski.jp/mtmoriyoshi/juhyo、『どこからが樹氷でどこからがアイスモンスターなのか』柳澤文孝(山形大学学術研究院)URL:http://sci.kj.yamagata-u.ac.jp/~zao/documents/no21s-2.pdf、『雪と氷の疑問60』公益社団法人日本雪氷学会監修 高橋修平、渡辺興亜編著(成山堂書店)