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じつは難読名字の「福家」。米の実りのいい土地に由来します

2026.03.26

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墨アート製作/越智まみ

名字の世界 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。連載一覧はこちら>>

難読名字:福家(ふけ)

「福家」という名字はとくに珍しいものではありません。

しかし「福家」と書いて、「ふくいえ」でも「ふくや」でもない読み方があります。しかも極めて珍しいというわけではなく、香川県の人にとってはごく当たり前の読み方で、これで「ふけ」と読むのです。

江戸時代以前の日本では経済の主体は米でした。米は年貢として納めるだけではなく、中世では貨幣の代わりとして物々交換で広く利用されていました。


江戸時代でも各藩の規模や、武士の俸禄は「~石(こく)」という米の収穫量で表すなど、米の生産量は経済規模と同じでした。いかに米の収穫量を増やすかは、為政者の重要な使命だったのです。

こうした時代には、稲の生育に適した低湿地は重要な場所で、各地で様々な呼び方がされました。

北関東では「あくつ」といって「阿久津」「圷」「安久津」などの漢字をあて、中部地方では「あわら」といって「湶」という漢字を使いました。

西日本では「ふけ」と呼ばれることが多く、これに色々な漢字をあてて、各地に地名や名字が生まれたのです。滋賀県の「浮気」、広島県の「普家」、長崎県の「泓」、熊本県の「富家」といった名字は、いずれもこうした「ふけ」に漢字をあてることで生まれた名字です。

香川県では、「ふけ」に「福をもたらす」という意味の縁起のいい漢字をあてて「福家」と書きました。米のみのりのいい土地は、子々孫々まで家に「福」をもたらしてくれたのです。

現在、「福家」は香川県では100位以内に入るメジャーな名字で、高松市や綾川町、坂出市に集中しています。

・ほかの名字の由来も読む>>


森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。

墨アート製作 書家・越智まみ(https://esprit-de-mami.com/
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