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読めたらすごい超難読名字「天竺桂」。とある木が関係しています

2026.03.25

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墨アート製作/越智まみ

名字の世界 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。連載一覧はこちら>>

難読名字:天竺桂(たぶのき)

「天竺桂」という極めて珍しい名字があります。東海地方や北海道に点在している名字で、知らない限り絶対に読むことができません。というのも、天竺桂は「てんじくかつら」ではなく、これで「たぶのき」と読む、漢字と読み方が全く対応していない超難読名字なのです。

では、そもそも「天竺桂」とはなんでしょうか。

実は「天竺桂」はヤブニッケイという木のことを指しています。ヤブニッケイはクスノキ科の木で、福島県以南の山地に広く分布しており、雑木林として普通にみられる木です。山間部でも比較的海の近くに生えるといい、庭木としても使われています。ニッケイの仲間なので、葉をかじるとシナモンのような味と香りがするそうです。


このヤブニッケイ、漢字では「藪肉桂」と書くのですが、中国語では「天竺桂」と書くようです。

ではタブノキは何かというと、こちらも同じクスノキ科に属する木で、北海道や東北北部を除いて全国に広く分布しています。

日本の照葉樹林を代表する木の一つで、公園などにも多く植樹されています。また30m近い大木になることも多く、鎮守の森などでよくみられる身近な木でした。古代では丸木舟の材料としても使われました。

実は、このヤブニッケイとタブノキ、よく似ていて素人には区別することが難しいのです。そうしたところから、本来はヤブニッケイのことを指す「天竺桂」という漢字でもタブノキと読んだのでしょう。

因みに、タブノキは漢字では「椨」と書きます。これは国字(中国にない漢字)で、名字では鹿児島県に「椨木」と書いて「たぶのき」と読む名字があります。

・ほかの名字の由来も読む>>


森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。

墨アート製作 書家・越智まみ(https://esprit-de-mami.com/
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