連載「季語に親しむ」2月 春の雪
ばか、はしら、かき、はまぐりや春の雪
久保田万太郎
選・文=夏井いつき(俳人・エッセイスト)いきなり「ばか」から始まるこの一句。昭和初期の『小学国語読本』みたいに綴られた言葉を一つ一つ辿っていけば、貝の名なのだと合点する。「はしら」「はまぐり」「春の雪」のハ音の韻も明るい。寿司屋のカウンターを思う人も多かろうが、なぜか読む度に、例えば伊豆や箱根のような、海に程近い町の落ち着いた温泉旅館が思い浮かぶ。ほっこりと湯を堪能した後の新鮮な貝づくし。折しも、春の雪でも降ってくれば、こんなに贅沢なことはない。
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