空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。
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日本にある、積雪世界一の記録
日本は世界でも有数の豪雪国として知られています。特に日本海側では雪が降りやすく、国内で最も深い積雪の記録は、1927年2月14日に滋賀県伊吹山で観測された11メートル82センチです。この記録は、なんと世界の観測史上でも第1位となっています。なぜ日本ではこれほどまでに雪が多いのでしょうか。その鍵を握るのが、雪のもととなる水蒸気の供給源である日本海です。
冬になると、大陸から日本に向かって吹き出す乾燥した寒気は、日本海を吹き渡る際に海面から水蒸気と熱を受け取ります。日本海は対馬海流という暖流の影響で真冬でも5~15℃と温かく、吹き出した寒気に多量の水蒸気を供給します。これが、日本で雪が多い最大の理由です。こうして、多量の水蒸気を受け取った空気が
筋状雲をつくり、日本海側に大雪をもたらすのです。
アメリカ合衆国とカナダの国境付近にまたがる五大湖も、日本海と同様の役割を果たし、周辺地域に大雪をもたらすことがあります。「Lake Effect Snowstorm」と呼ばれ、湖が温かいうちは警戒すべき現象です。しかし、厳冬期になると湖は低温になり、部分的に凍ってしまいます。そのため、大気への水蒸気の供給が減り、日本ほど雪は多くならないのです。
日本の豊富な雪は、国内外の人々を惹きつける大きな魅力です。冬のレジャーを安全に楽しむためにも、雪の多い地域へお出かけの際は、大雪や積雪の最新の気象情報に留意して、万全の準備でお出かけください。
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監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。
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YouTube文/佐々木 恭子 Kyoko Sasaki気象予報士・防災士。合同会社てんコロ.代表。民間気象会社で予報業務を担当、気象予報士受験生向けのスクール主宰。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 天気の話』(日本文芸社)など。
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YouTube●参考文献/『最高にすごすぎる天気の図鑑』荒木健太郎著(KADOKAWA)、『防災の超図鑑』荒木健太郎著(KADOKAWA)