空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。
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天文薄明(てんもんはくめい)
日が暮れた後や早朝のまだ辺りが暗い時間帯、一見すると真っ暗に思える空の地平線に目を向けると、昼と夜の境目を見ることができるかもしれません。
太陽が地平線の下にある日の出前と日の入り後の、空が薄明るい時間帯は「薄明」と呼ばれます。薄明は、太陽の高度角(地平線を0度とする太陽の高さ)によって「
市民薄明」「
航海薄明」「天文薄明」の三つの時間帯に分けられます。
中でも、天文薄明は最も夜に近い時間帯です。太陽の高度角は地平線から-12~18度と低く沈んでおり、視線を少し上げれば、空には星が輝いています。ただ、肉眼で確認できる最も暗い星である6等星は見えないくらいのわずかな明るさはあり、地平線を縁取るような濃い橙や赤色の空に出合えます。
薄明は、1時間半という時間をかけて空の色や明るさが変化していきます。その移り変わりを、目で見て捉えるのは困難です。そこでおすすめなのが、薄明の時間帯の連続撮影(タイムラプス)です。一般的なスマートフォンの機能で誰でも簡単に撮影でき、空の色が変化していく様子を動画で楽しめます。
季節や地域によって違う日の出・日の入りの時刻は、国立天文台のサイト「暦計算室」の「各地のこよみ」などで確認できます。ぜひ薄明の空をお楽しみください。
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写真/荒木健太郎
監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。
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YouTube文/佐々木 恭子 Kyoko Sasaki気象予報士・防災士。合同会社てんコロ.代表。民間気象会社で予報業務を担当、気象予報士受験生向けのスクール主宰。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 天気の話』(日本文芸社)など。
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YouTube●参考文献/『雲を愛する技術』荒木健太郎著(光文社)、『最高にすごすぎる天気の図鑑』荒木健太郎著(KADOKAWA)、国立天文台『暦計算室』「各地のこよみ」URL:https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/dni/