空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。
連載一覧はこちら>>
雪まくり
雪が降ったあと、小高い丘や土手の斜面の麓にまるでロールケーキのような雪の塊が転がっていることがあります。これは「雪まくり」と呼ばれる現象です。
雪まくりの大きさはさまざまで、直径10センチメートルほどの小さなものから、1メートル近くになるものまであり、その俵のような姿から「雪俵(ゆきだわら)」と呼ばれることもあります。
雪まくりは、硬く締まった積雪の上に、湿っていて粘り気のある新雪が1~3センチメートルほど積もったときに生まれやすいといわれています。
積雪のある斜面では、風が吹いたり、動物が通ったりすることで生じる小さな雪の塊が斜面を転がり始め、雪を巻き取りながら成長していきます。こうして、写真のような雪まくりが誕生します。
雪の積もった田畑など、平らな雪原でも雪まくりができることがあります。これは、瞬間的に吹く強い風によってできる小さな渦が、新雪をめくり上げて転がり始めるという仕組みが背景にあると考えられています。
関東地方でも、雪が降るときには湿った雪になりやすく、条件がそろえば雪まくりが見られることがあります。公園内の緩やかな斜面や滑り台、車のフロントガラスなど、意外と身近なところで、不思議な“雪の芸術”に出合えるかもしれません。
●関連記事を読む
・
まるで雪の芸術作品。「雪紐」はどうやってできている?・
雪の情報の確認方法を解説。雪道を通る外出には改めて注意を
写真/フォトライブラリー
監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。
X・
Instagram・
YouTube文/佐々木 恭子 Kyoko Sasaki気象予報士・防災士。合同会社てんコロ.代表。民間気象会社で予報業務を担当、気象予報士受験生向けのスクール主宰。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 天気の話』(日本文芸社)など。
X・
YouTube●参考文献/『雪と氷の疑問60』高橋修平・渡辺興亜著、公益社団法人日本雪氷学会編(成山堂書店)、『雪氷』35巻1号『雪まくり』大沼匡之著、『雪氷』76巻5号『身近に見られる積雪の造形美の生成条件の解明-北海道新聞読者からの写真を用いた解析-』直井和子・亀田貴雄・橘井潤・樋口敬二著