空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。
連載一覧はこちら>>
JPCZ(日本海寒帯気団収束帯;Japan sea Polar air mass Convergence Zone)
冬には、日本海側を中心に雪がよく降るようになります。中でも、沿岸部や平野部の狭い範囲で、短時間のうちに積雪が急増する、いわゆる「ドカ雪」になることがあります。こうしたドカ雪は多くの場合、JPCZ(日本海寒帯気団収束帯;Japan sea Polar air mass Convergence Zone)によってもたらされることが知られています。
日本海側で雪を降らせるのは、主に「
筋状雲」と呼ばれる雲です。大陸から吹き出した寒気は、温かい日本海で熱と水蒸気を補給されて、暖かく湿った空気に変わります。この空気が上昇することでできた
積雲や
積乱雲が、大陸から日本に向かう北西の風に沿って列を成すのが筋状雲です。
JPCZは、冬の日本海に現れる、長さ約1000キロメートルにもおよぶ風がぶつかり合う場所(収束帯)のことです。大陸から吹き出す寒気が朝鮮半島の付け根に位置する山地を迂回し、二手に分かれて再び日本海上でぶつかる(収束する)ことで発生します。JPCZでは強い上昇気流が生じて、筋状雲よりも高く発達した積乱雲が列を成します(写真の太い雲の帯)。そのため、JPCZがかかると積乱雲による局地的に強い雪が降り続き、ドカ雪につながるのです。
JPCZによってドカ雪になると、車の立ち往生が発生することもあります。スキーなど、冬のレジャーで日本海側にお出かけの際には、十分注意してください。
●関連記事を読む
・
美しい縞模様の「筋状雲」。日本海側に雪や雨をもたらすため注意が必要です・
大雪情報の確認方法を解説。雪道を通る外出には改めて注意を
写真/NASA
監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。
X・
Instagram・
YouTube文/佐々木 恭子 Kyoko Sasaki気象予報士・防災士。合同会社てんコロ.代表。民間気象会社で予報業務を担当、気象予報士受験生向けのスクール主宰。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 天気の話』(日本文芸社)など。
X・
YouTube●参考文献/『雲の超図鑑』荒木健太郎著(KADOKAWA)、『もっとすごすぎる天気の図鑑』荒木健太郎著(KADOKAWA)