授賞式にはお手製のドレスで出席。エヴァ・オルソン博士・独占インタビュー

エヴァ・オルソン博士。物理学者、チャルマース工科大学教授、スウェーデン王立科学アカデミー会員、2023年のノーベル物理学賞選考委員長。世界的に著名な電子顕微鏡研究者で、東京大学工学部の電子顕微鏡開発プロジェクトにも共同研究者として携わっている。
Q1 ノーベル賞を目指すことの意味を教えてください。
A1 ノーベル賞を目指すということは「人類や世界にとって何が大切かを考えること」、そして改良の域を超えて、新しい挑戦に踏み出すことだと思います。そうすることで持続可能な未来につながるからです。私はノーベル賞に値する仕事とは「時代を超えるもの」、つまり今日だけでなく、未来にとっても重要なものであるべきだと考えます。
Q2 ご自身もノーベル賞を受賞したいと思われますか?
A2 いつか受賞したいという夢はもちろんあります。でも、私が若い教授だった頃の夢はスウェーデン王立科学アカデミーの会員になることで、その夢は叶いました。とても狭き門でしたが、私はただ「人類のためになる科学を」と思って研究してきました。そしてある冬の金曜日、郵便受けに一通の手紙が届き、アカデミーの一員に選ばれたと書かれていたのです。
Q3 近年、女性のノーベル賞受賞者が増えていることをどのように思われますか?A3 確かに増えています。物理学賞では1903年のマリー・キュリー(後に化学賞でも受賞)をはじめ、これまでに5人の女性が受賞しているのですが、そのうち3人は2018年以降の5年間で受賞しました。アカデミーとしても、推薦依頼を送る際に女性科学者が適切に考慮されるよう配慮しています。
また、アカデミーは、女性を“見える存在”にすることにも力を入れています。たとえば、私や他の委員会の女性メンバーが賞の授与を担当すると、女性科学者の存在感が際立ち、若い世代にとってのロールモデルとして励みになります。
Q4 授賞式のドレスを手作りされているそうですね。A4 2011年にアカデミー会員になって以来、毎年ノーベル賞授賞式と晩餐会に出席しているで、毎年“ノーベルドレス”を手作りしています。制作はお正月頃に始め、仕上げはいつもノーベル賞授賞式と晩餐会の直前。ビーズやスパンコールを大量に使うので、完成にはほぼ1年かかります。

2025年のテーマは「フェニックス」、24年「鶴」、23年は「ドラゴン」でした。日本にはとても美しいビーズがあり、旅先で買い集めています。ドレスには私の旅の思い出も刻まれているのです。母と一緒にドレス作りをしていたのが始まりで、忙しいときでも、ビーズを一つずつ縫う作業は心が落ち着き、色彩の美しさに魅了されます。
ノーベル賞授賞式では、受賞者がスウェーデン国王からメダルと賞状を授与される。その後、ストックホルム市庁舎で約1300名規模の大晩餐会が催され、ロイヤルファミリーも臨席。物理学賞の受賞者は国王や王妃の隣に着席する。オルソン博士曰く、「晩餐会の料理は非常においしいこともあれば、1300名に提供する間に乾いてしまっていることもあります」。 © Nobel Prize Outreach Photo: Helene Mariussen