数千通にも及ぶ推薦依頼状の送付からスタート。ノーベル物理学賞選考の長いプロセス
ノーベル賞選考のプロセスを物理学賞を例に説明しましょう。物理学賞の決定には、スウェーデン王立科学アカデミー(以下、アカデミー)の全メンバーが関与します。選考準備は主に、年間を通じて多くの業務を担うノーベル物理学委員会(以下、委員会)によって行われ、この委員会はアカデミーの物理学クラスから推薦され、アカデミー全体の承認を受けて構成されています。
●9月 世界中へ数千通の推薦依頼状が送付される。送付先は、アカデミー会員、委員会メンバー、世界各国の物理学分野の終身教授、大学や研究機関で同等のポジションを持つ者、さらにアカデミーが適任と判断した科学者たち。
●1月31日 推薦の締め切り。「自薦」は認められていない。
●2月~5月 委員会で推薦内容を精査し、「発見」「発明」ごとにグループ化。そして、国際的な専門家からなる評価者リストを作成し、特定の発見・発明についての意見や、元の研究の重要性について評価を依頼。
●6月~8月 専門家の評価をもとに、委員会が詳細な報告書を作成。
●9月 委員会内、及びアカデミーの物理学クラスとの間で集中的な議論が行われ、アカデミーの規定とノーベル財団の規定に従って最終選考が行われる。最大3名まで受賞可能。
● 10月第1週 物理学賞が発表される火曜日の朝、アカデミーの全会員が投票をして、授賞者を正式決定。アカデミーの事務総長と委員会が受賞者へ電話をかける。ノーベル賞受賞の連絡は、受賞者本人にしか伝えられない。ただ、国によっては早朝の電話になることもあり、本物かどうか疑われ、切られてしまうこともあるそう。無事受賞が伝えられると、記者会見へと進む。
© Nobel Prize Outreach. Photo: Nanaka Adachi
物理学賞と同じくアカデミーが授与する化学賞を2025年に受賞した3名。左から、北川 進京都大学特別教授、オマール・M・ヤギーカリフォルニア大学バークレー校教授、リチャード・ロブソンメルボルン大学教授。12月8日にストックホルム大学アウラ・マグナ講堂でノーベル受賞記念講演を行った後の様子。