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名字「東風平」はどう読む?沖縄県に多く見られます

2026.02.25

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墨アート製作/越智まみ

名字の世界 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。連載一覧はこちら>>

難読名字:東風平(こちんだ)

沖縄県にある名字で、漢字と読みがほぼ対応しておらず超難読ですが、ある程度までは読むことができる人が多いと思います。

かつて、春に東から吹く風のことを「こち」といいました。漢字では「東風」と書きます。

平安時代、大宰府に左遷されることになった菅原道真が、邸宅に咲いていた梅の花に向かって詠んだ歌「東風吹かば 匂ひおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春を忘るな(春な忘れそ)」は教科書にも掲載されており有名です。


自分が大宰府に左遷されていなくなっても、東風が吹いたら春になったことを感じて咲くようにとうたったもので、『大鏡』や『拾遺和歌集』に収載されています。ここから、梅が道真を慕って大宰府まで飛んで行ったという「飛梅伝説」も生まれ、太宰府天満宮には御神木「飛梅」が残っています。

そのため、「東風」と書いて「こち」と読むのはよく知られており、西日本各地に「東風」(こち)のつく名字や地名があります。

そして、この「こち」からさらにいろいろな名字や地名が派生しました。その一つが「東風平」なのです。

ルーツは琉球国にあった東風平間切東風平村という地名です(間切は琉球国の行政単位)。沖縄の地名は琉球語に因んでいるため本土とは読み方がやや異なり、「東風平」と書いて古くは「くちんだ」と読んだようです。その後は「こちんだ」となり、平成18年までは東風平町という独立した自治体でした。同年に具志頭村と合併し、現在は沖縄県島尻郡八重瀬町となっています。

現在、「東風平」名字は沖縄県ではそれほど珍しいというわけではなく、那覇市周辺と宮古島に集中しています。

また、この他、山口県に「東風浦(こちうら)」、広島県には「東風上(こちがみ)」という名字もあります。

・ほかの名字の由来も読む>>


森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。

墨アート製作 書家・越智まみ(https://esprit-de-mami.com/
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