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難読名字「十六沢」、あなたは読める?ヒントは旧暦の月

2026.02.19

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墨アート製作/越智まみ

名字の世界 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。連載一覧はこちら>>

難読名字:十六沢(いざさわ)

東京にある、漢字と読み方が全く対応していない超難読名字です。知らないと読めないのですが、あることに気が付くと正解にたどりつくことができます。

そのキーとなるのが「十六夜」という言葉です。

明治5年12月に現在使用されているグレゴリオ暦(太陽暦)に改暦されるまで、日本では旧暦(太陰太陽暦)を使用していました。


旧暦では新月を月の始まりとしていたため、毎月1日は原則新月となります(多少の誤差があります)。しかし、月の満ち欠けの周期は平均して29.5日のため、1か月の日数を固定することはできず、29日の月と30日の月がありました。

現在では、大の月が31日、小の月が30日(2月は28日か29日)ですが、昔は30日と29日だったのです。そのため1年の日数は354日しかなく、次第に季節がずれていきます。

そこで日数調整のために、数年に一度1年を13か月とする、閏月という制度もありました。

こうした旧暦では毎月15日はほぼ満月となります。従って今では毎年違っている中秋の名月は、旧暦では8月15日と日にちが固定されていたのです。

15日が満月なので、その翌日の16日もまだ満月に近く、引き続き月をめでることができました。

日没後少ししてから昇る16日の月は、ためらいながら昇ってくるように見えるため、「ためらう」という意味の古語「いざよう」から「いざよいの月」と呼ばれました。そこからやがて「十六夜」と書いて「いざよい」と読むようになったのです。

さて、「十六夜」の「夜」の部分を「沢」に変えたのが「十六沢」です。つまり「十六夜」と書いて「いざよい」と読むのであれば、「夜」の部分を「沢」に変えれば「いざさわ」となる、ということなのです。

同じような由来のものとして、「十六原」(いざはら)という名字もあります。

・ほかの名字の由来も読む>>


森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。

墨アート製作 書家・越智まみ(https://esprit-de-mami.com/
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