空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。
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ウィンターブルー
曇り空が続いて気持ちが沈んだり、やる気が出にくくなったりした経験はないでしょうか。これには、科学的根拠があるのです。
このような気分の落ち込みには、陽の当たる時間(日照時間)が深く関わっています。人間は、目に入る光の刺激によって脳内でセロトニンが分泌されます。セロトニンは、精神を安定させる物質で、日照時間が短いとその分泌量は低下しやすくなることが分かっています。そのため、曇りの日は気分が落ち込みやすくなるのです。
冬に特有の気分の落ち込みは「ウィンターブルー」と呼ばれ、北欧などの高緯度地域に多いとされています。日本でも、冬の日本海側の地域では大陸から吹き出す寒気の影響で曇りや雪の日が増え、日照時間が短くなります。そのため、ウィンターブルーになる人が多くなることが分かっています。
対処法のひとつは、光を浴びることです。室内照明では蛍光灯のもとで300~800ルクス程度の強さの光ですが、この光を浴びるよりも、曇りの日でも屋外に出ることが有効です。曇り空でも太陽のほうを向くと、5000ルクス程度の光があるといわれており、実はけっこう明るいのです。このくらいの強さの光を30分~1時間ほど目に取り入れると、セロトニンの分泌量が増えるといわれています。
曇りがちで気分が落ち込むと室内にこもりたくなりますが、そんなときこそ外に出て、空を見上げましょう。
写真/荒木健太郎
監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。
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YouTube文/佐々木 恭子 Kyoko Sasaki気象予報士・防災士。合同会社てんコロ.代表。民間気象会社で予報業務を担当、気象予報士受験生向けのスクール主宰。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 天気の話』(日本文芸社)など。
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YouTube●参考文献/『最高にすごすぎる天気の図鑑』荒木健太郎著(KADOKAWA)