空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。
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ジュエリーアイス
北海道・十勝地方の海岸では、冬になると宝石のように輝く氷が現れます。1月中旬から2月下旬ごろまで、北海道中川郡豊頃町の大津海岸で見られるこの現象は「ジュエリーアイス」と呼ばれ、その幻想的な美しさから海外でも注目されています。
ジュエリーアイスは十勝川で生まれます。この時期の十勝平野の気温は一年で最も低く、-20℃近くまで下がることもあります。厳しい寒さが続くと、川の流れが穏やかな場所からゆっくりと冷やされ、不純物を排出しながら凍り、次第に澄んだ氷がつくられていきます。凍った川面は、やがて昼間の気温上昇や潮の満ち引きによって割れ、氷の塊となって海へ流れ出します。海に達した氷は、波と砂によって磨かれることでさらに透明度を増し、宝石のような姿となって海岸にたどり着くのです。
クリスタルのように透き通るジュエリーアイスは、光の加減によって多彩な表情を見せてくれます。特に、日の出のころは太陽の光を受けて金色に染まり、格別の美しさです。また、月明かりに照らされれば、夜の海岸がキラキラと輝く様子を見ることもできます。まさに、海辺の宝石です。
写真/まりも
監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。
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YouTube文/佐々木 恭子 Kyoko Sasaki気象予報士・防災士。合同会社てんコロ.代表。民間気象会社で予報業務を担当、気象予報士受験生向けのスクール主宰。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 天気の話』(日本文芸社)など。
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YouTube●参考文献/豊頃町観光サイト『豊頃町の新絶景/ジュエリーアイス』URL:https://www.toyokoro-kankoh.com/、『北海道大津海岸におけるジュエリーアイス出現時期推定手法の一検討』岸本真志、吉川泰弘、芳賀聖一、甲斐達也著、『魔法のような空の風景・カレンダー2025』荒木健太郎著(インプレス)