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歌舞伎俳優 中村鴈治郎さん×映画監督 李 相日さんインタビュー【後編】世界の視線が注がれる歌舞伎と映画『国宝』

2025.12.22

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──映画『国宝』のヒットは今や日本国内にとどまらず、カンヌ国際映画祭にはじまり多くの映画祭から招聘。さらに50以上の国と地域での上映も続々決まっています。

カンヌ国際映画祭にて。右から渡辺 謙さん、横浜流星さん、吉沢 亮さん、李監督。公式上映後には約6分間、スタンディングオベーションが続いた。©Kazuko Wakayamaカンヌ国際映画祭にて。右から渡辺 謙さん、横浜流星さん、吉沢 亮さん、李監督。公式上映後には約6分間、スタンディングオベーションが続いた。©Kazuko Wakayama

カンヌ国際映画祭にて。右から渡辺 謙さん、横浜流星さん、吉沢 亮さん、李監督。公式上映後には約6分間、スタンディングオベーションが続いた。©Kazuko Wakayama

 京劇という舞台芸術になじみのある国や地域では、自分たちの芝居や俳優へのイメージと映画を照らし合わせて見ている方もあるように感じました。喜久雄と俊介の人間関係を、単なるライバルとしてのドロドロとした争いではなく、芸を追求する同志、ソウルメイトとして描いているのが美しいといってくれた人も。逆に北米やヨーロッパでは、日本に対するミステリアスな印象や、日本の美=ジャポニズムを堪能してくださっているのかもしれません。

鴈治郎 日本でも英語字幕付きの上映が始まったでしょう?


 字幕でどこまで伝えられるかは悩みました。太夫さんの語りの部分までは字幕にできない。難しいところです。

──一方、歌舞伎も1928年のソビエト連邦(現ロシア)を皮切りに、これまでに松竹が主催する大歌舞伎だけでも35以上の国と地域で公演を行っています。なかでも鴈治郎さんは父の坂田藤十郎さんが旗揚げした「近松座」などで多くの国で舞台に立ってきました。

鴈治郎 ロシアは舞台芸術に関しては、 一番造詣が深い国かもしれません。公演を続けていけたらと思っていたのにこんな情勢になってしまったのは残念ですね。中国は日本と共通する言葉があるので、近松の作品で台詞に中国の偉人が登場すると大いに受けました。

 面白いですね。

鴈治郎 宗教によって捉え方が変わることもあるはずで。カトリックの国では心中=自殺というのは許されない。あの世で結ばれるために命を絶つ『曽根崎心中』を持って行っても大丈夫なものかと思いましたが、そこは価値観が違っても、ドラマとして受け入れてもらえました。

映画『国宝』がもたらす新たな歌舞伎の波

──映画をきっかけに関心が高まり、生の歌舞伎を見たいと歌舞伎座などに足を運ぶ人も増えています。

 歌舞伎ってちょっと敷居が高いと思われがちだったのが、映画を通して「あ、自分たちと繫がっているんだ」という感覚が生まれたのなら嬉しいですね。

鴈治郎 漫画やアニメを歌舞伎化すると、その公演にはたくさんの方が来るけれど、毎月の古典の公演にはなかなか結びつかなかった。それが映画を見て「『藤娘』って何だろう」、「『道成寺』を見たい」と、多くの方に思っていただけた。それはこの映画が、生身の人間がやっていることをリアルに打ち出したからかもしれません。配信やスマートフォンで手軽にコンテンツを消費できる時代だからこそ、お金を払って劇場に足を運ぶという行為に価値があるんです。

 それは映画も同じです。映画館という空間で大きなスクリーンで見ていただくことに意味があると思っています。

鴈治郎 世界中の人が映画館に、劇場に、足を運んでくださることを願っています。まずは1月の大阪松竹座で、歌舞伎に触れていただけたら。

世界の視線が注がれる歌舞伎と映画『国宝』

映画『国宝』は23の映画祭へ
世界各国から映画祭への招聘や映画上映のオファーが殺到、数々の映画賞を受賞している映画『国宝』。2025年10月末時点で参加が決まっている映画祭は23にのぼる。

釜山国際映画祭には李監督とともに吉沢 亮さん、黒川想矢さんも登場。会場は大いに盛り上がった。

釜山国際映画祭には李監督とともに吉沢 亮さん、黒川想矢さんも登場。会場は大いに盛り上がった。

トロント国際映画祭での作品上映後の客席の様子。

トロント国際映画祭での作品上映後の客席の様子。

©吉田修一/朝日新聞出版
©2025映画「国宝」製作委員会

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『家庭画報』2026年01月号

家庭画報 2026年01月号

撮影/本誌・大見謝星斗、伏見早織 取材・文/清水井朋子 地図制作/尾黒ケンジ 舞台写真・協力/松竹

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