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大晦日から元旦へ、埋み火をつなぎ、心をつなぐ 遠州茶道宗家のお正月迎え

2025.12.24

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遠州茶道宗家十三世小堀宗実家元と貴美子夫人(右)を客とし、長男の宗以若宗匠が、新年への祈りを込めて点法を行う一場面。若宗匠が大徳寺での4年の禅修行を終えて宗家に戻られ、次女の宗翔さんが嫁がれた今、3人で味わう零時のお茶が、家族の絆を深める。

特別取材・小堀家の年末年始 遠州茶道宗家のお正月迎え 江戸時代初期の大名茶人・小堀遠州を流祖とする遠州流茶道。約440年もの歴史を持つ当家を率いるのは、十三世家元・小堀宗実さんです。昨年、ご長男・宗以(そうい)さんが禅寺での修行を終え、本格的に茶の湯の稽古を始めました。家族揃って、和やかかつ厳かに迎える年末年始を取材します。

一月一日。零時のお茶

遠州公も祀られている祖堂で読経する家元と若宗匠。「無事に新年を迎えられたことを先祖にご報告するのが、家にとって大切なこと。『一年間またよろしくお願いします』という気持ちで供茶します」と若宗匠。

遠州公も祀られている祖堂で読経する家元と若宗匠。「無事に新年を迎えられたことを先祖にご報告するのが、家にとって大切なこと。『一年間またよろしくお願いします』という気持ちで供茶します」と若宗匠。

埋(うず)み火をつなぎ心をつなぐ遠州茶道宗家の大晦日

大晦日の朝、遠州茶道宗家・小堀家の屋敷には凜とした静けさが漂います。宗実家元は年内最後の茶会・除夜釜の準備を始め、貴美子夫人はおせちの仕上げに余念がなく、宗以若宗匠は除夜釜でふるまうそばがきを練ります。「そばがきは小さい頃から作っています。はじめの頃は一つ一つ出来が違いましたが、今は均等に仕上げられるようになりました」と若宗匠は微笑みます。

午後には直門(じきもん)の教授者など30名が集い、除夜釜が始まります。静謐な小間の茶室にて一年を締めくくる一服が点てられ、その炉中の火種は別の炉へと移され、元旦まで火をつなぐために灰をかけて「埋み火」とします。釜を掛け直し、正月の床飾りを整えながら、家元と若宗匠は夜半までその火を見守ります。やがて零時を迎えると、祖堂にて遠州公をはじめとする先祖に供茶が行われます。続いて茶室に移り、家族水入らずで新年最初のお抹茶、大福茶をいただくのが恒例です。

主菓子は源太萬永堂製の梅饅頭。干菓子は家元が古稀茶会の折に好んだ「麗和糖(れいわとう)」。鍵善良房製。

主菓子は源太萬永堂製の梅饅頭。干菓子は家元が古稀茶会の折に好んだ「麗和糖(れいわとう)」。鍵善良房製。

祥瑞(しょんずい)胴紐茶碗は、上部の小さな円の中に福寿の文字が書かれている。薩摩焼筒茶碗は七宝と亀甲の絵付けが華やか。

祥瑞(しょんずい)胴紐茶碗は、上部の小さな円の中に福寿の文字が書かれている。薩摩焼筒茶碗は七宝と亀甲の絵付けが華やか。


ご家族が眠った後も、家元と若宗匠は、炉中の埋み火を見つつ、仮眠をとりながら朝を迎えます。夜明け前、家元は広間に戻り、前夜からの火がまだ残っているのを確かめます。


「釜の煮え音がかすかに聞こえると、ほっとします。今年も火を守り継ぐことができた喜びは、先代も同じだったのだろうと思います」と語ります。その火種から炭点法(すみてんぽう)を行い、清々しく新年の朝を迎えるのです。遠州茶道宗家で代々守られてきた、厳粛な年越しの行事です。

埋み火と大福茶──火と心を絶やさずつなぐ営みに、宗家の気品と温もりが静かに息づいています。

立礼卓は家元が永遠、無限をコンセプトにデザインした「天籟(てんらい)」。天板は無限「∞」の形。水指は、朝鮮に注文して焼かれた御本菱馬(ごほんひしうま)。馬の絵は遠州公の時代に伝来した呉須菱馬水指と同じ。

立礼卓は家元が永遠、無限をコンセプトにデザインした「天籟(てんらい)」。天板は無限「∞」の形。水指は、朝鮮に注文して焼かれた御本菱馬(ごほんひしうま)。馬の絵は遠州公の時代に伝来した呉須菱馬水指と同じ。


(次回に続く。)

特集「遠州茶道宗家のお正月迎え」の記事一覧はこちら>>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2026年01月号

家庭画報 2026年01月号

撮影/越田悟全 構成/富川匡子〈emu〉 文/小松めぐみ

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