〔特集〕新国立劇場バレエ団、英国への挑戦 吉田都の『ジゼル』、世界へ 2025年7月。ロンドンの英国ロイヤルオペラハウスで『ジゼル』を踊ったのは、新国立劇場バレエ団。率いるのは、吉田 都さんです。5年前、新国立劇場バレエ団の芸術監督に就任した際、自身が活躍した “ロイヤル” のステージにダンサーを連れていきたい、と夢を抱いた吉田さん。それが形となりました。バレエ好きのロンドンっ子を沸かせた公演を追いました。
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現地密着レポート
文・阿部さや子(WEBメディア「バレエチャンネル」編集長)
2025年7月24日、目の肥えた英国の観客に埋め尽くされたロイヤルオペラハウスにて、新国立劇場バレエ団ロンドン公演の幕が上がりました。
©Foteini Christofilopoulou
初日の主演を任されたのは、米沢 唯さんと井澤 駿さん(上写真)です。一流の技術と深い精神性を備えた米沢さんの、透き通るように儚いジゼル像、真心のこもった演技。立ち姿からして高貴さも “色男” 度も満点の井澤さんは、ドラマティックな芝居で観客を引き込みました。
他のダンサーたちも緊張感を熱量と勢いに変え、1幕では村の日常を生き生きと描写。2幕のウィリたちはぴたりと揃っているだけではない気迫の群舞で大喝采を浴びました。
2日目に登場した小野絢子さんと福岡雄大さんは、長年主役を担ってきた二人だからこその存在感と考え抜かれた演技が圧巻。
©Foteini Christofilopoulou
3日目の主役、柴山紗帆さんと速水渉悟さんの月と太陽のようなジゼルとアルブレヒト(上写真右)、最終日を担った木村優里さんの音楽的な踊りと渡邊峻郁さんの演劇性(下写真左)も感動を呼びました。
©Tristram Kenton
緩急自在の芝居でドラマを動かしたヒラリオン役の中家正博さん、愛娘を失った母の悲しみをリアルに表現したベルタ役の関優奈さん、舞台を輝かせたペザント・パ・ド・ドゥの池田理沙子さんと水井駿介さん、身体の美と動きの大きさで魅せたミルタ役の吉田朱里さんなど、主要役のダンサーたちも大活躍。まさに「ストーリーの伝わる演技」で連日観客を沸かせた。
ロンドン公演特別オフショット


第2幕のコール・ド・バレエのシーン。リハーサルでウィリたちの立ち位置を確認。
楽屋で本番前のメイクアップ。
客席もある大きなリハーサル室。
広いバックステージ。通りがかりに、笑顔でポーズしてくれた井澤さん。
本番前の米沢さん。ジゼルそのものの愛らしさ。
劇場前でのオフショット。ロンドンは意外に寒かったとのこと。
劇場に掲示されたポスター。地下鉄やバス停にも。
千秋楽のパーティ。吉田芸術監督と英国ロイヤルバレエの芸術監督、ケヴィン・オヘア氏が乾杯を。
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