連載「言葉の道しるべ」12月 満足
選・文=養老孟司(解剖学者)この言葉は自給自足という成語として使われることが多い。その場合は水や食料など、主に物質的なことについてだけれども、自足という言葉だけだと、心のことになって、たぶん仏教用語になると思う。
与えられた条件で満足して足れりとすることと私は解釈している。
人生に注文を付けると、際限がなくなるから、まあ与えられた分で十分だと思って生きてきた。いわばこれを勝手に自足と称している。これがちゃんとできれば、人生にほとんど苦労はない。
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