連載「千年の文様の教え」
12月「鳳凰」
選・文=八條忠基(「綺陽装束研究所」主宰)古代中国では、聖帝の治める平和な世にだけ鳳凰が姿を現すとされました。天子のシンボルとして「龍」を用いた中国とは異なり、日本では「鳳凰」が帝位の象徴とされ、天皇の乗る御輿は、屋根に金色の鳳凰が飾られる「鳳輦(ほうれん)」でした。
向鳳凰丸(むかいほうおうのまる)

鳳凰飛文(ほうおうのとびもん)
鳳凰は梧桐の樹に棲み、竹の実を食べると言われます。そこから平安時代中期頃から天皇の御袍の文様は「桐竹鳳凰」とされ、のちに仁獣「麒麟」も加えられて「桐竹鳳凰麒麟(きりたけほうおうきりん)」として今日まで継承されています。
唐花(からはな)に 尾長鳥丸(おながどりのまる)

鳳凰丸(ほうおうのまる)
鳳凰は皇后も用いました。他の女子が同様の文様を用いる際は、「鳳凰」ではなく「尾長鳥」と称することが多かったことからも、鳳凰が至尊の文様であったことがわかります。
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