カルチャー&ホビー

現代では珍しい名字「赤染」。古代氏族にルーツがあります

2026.01.14

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墨アート製作/越智まみ

名字の世界 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。連載一覧はこちら>>

難読名字:赤染(あかぞめ)

「赤染」という名字を見たことがあるでしょうか。

現在ではかなり珍しい名字のため、実際に「赤染」さんに会ったことがあるという人は少ないと思いますが、2024年のNHK大河ドラマ「光る君へ」で赤染衛門が登場していたことを覚えている人も多いと思います。

赤染衛門は、「光る君へ」の主人公・紫式部が参加する源倫子の女性サロンで学問を教える歌人として登場しました。赤染衛門は歴史物語『栄花物語』の作者ではないかともいわれており、当時を代表する文化人です。


そもそも「赤染」とは、文字通り古代に舟や軍衣などを赤く染める職にあったことから生まれたものです。

『魏志』倭人伝には、「日本の山には丹あり」「朱丹を以てその体に塗る」とあり、邪馬台国の時代には「丹」からとった赤い顔料を使用していました。こうした赤い顔料で染め物をしていたのが赤染氏だと思われます。

赤染氏は渡来人系の古代氏族で、河内国大県郡(現在の大阪府八尾市・柏原市)が本拠とされています。平安時代初期に編纂された『新撰姓氏録』には、燕国王・公孫淵の末裔とありますが、はっきりしたことはわかりません。

壬申の乱の際に、大海人皇子(天武天皇)方の高市皇子に従っていた赤染徳足という人物がいた他、赤染衛門もこの一族です。赤染衛門の父・時用(ときもち)は大隅守などをつとめており、平安時代中期頃には中級の公家だったようです。

また、これとは別の赤染家もあります。

福岡県田川郡香春町にある、豊前香春神社の神職が赤染家です。神社近くの香春岳(かわらだけ)は古くから銅を産出しており、近くには採銅所という地名もあります。ここの「赤染」という名字は鉱山に関係する氏族の可能性が高いといえます。

この他、現在は兵庫県千種町や横浜市、北九州市などにあります。

・ほかの名字の由来も読む>>


森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。

墨アート製作 書家・越智まみ(https://esprit-de-mami.com/
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