連載「千年の文様の教え」
11月「鶴」
選・文=八條忠基(「綺陽装束研究所」主宰)「鶴は千年・亀は万年」と言われて長寿の象徴とされる鶴。その細やかで優美な姿はいかにも絵になります。
比翼鶴(ひよくのつる)

向鶴丸(むかいづるのまる)
有職文様に描かれる鶴は二羽を組み合わせた意匠が多く、雄がくちばしを開け、雌は閉じている「阿吽(あうん)」の姿が一対で描かれます。これは夫婦和合と子孫繁栄を表す吉祥柄として特に好まれました。実際に鶴は夫婦仲良く、生涯にわたって一夫一婦で添い遂げると言われています。
雲鶴(うんかく)

松(まつ)に向鶴丸(むかいづるのまる)
また古代中国では雲の中を飛ぶ鶴は仙境を表すことから、抜きんでた人物の象徴とされ、日本では平安時代後期頃から親王や太閤など、高位高官の装束に用いられる文様でした。皇族男子が雲鶴文様の袍(ほう)を着用する習慣は、今日まで受け継がれています。
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