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ルーツは神社所有の田んぼ。地域で読み方が変わる名字「神田」

2025.12.04

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墨アート製作/越智まみ

名字の世界 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。連載一覧はこちら>>

神田(かんだ)

「神」の「田」と書いて「かんだ」と読みます。名字ランキングでは300位以内というかなりメジャーな名字です。しかも全国に広く分布しており、特定の地名などをルーツとしているわけではありません。

「神田」とは文字通り「神の田」という意味で、本来は神様に捧げる米を植えた特別な田んぼを指していたと思われます。東京の神田という地名も、伊勢神宮の領田があったことに因んでいます。しかし、次第に広く神社の所有する水田全般を指すようになったとみられます。

江戸時代以前は米が経済の基本で、武士も寺社もその財産の源は所有している田んぼです。水田から穫れる米を換金することで経済活動を行うため、寺院や神社も自らの田んぼを所有していました。


こうした寺院の所有する田んぼを「寺田」、神社の所有する田んぼは「宮田」や「神田」といいました。神社は、こうした宮田や神田から穫れた米を換金して、神事や造営の費用、神職の給料などをまかなっていたのです。

現在、「神田」は沖縄県も含めて全国に広く分布し、とくに新潟県・島根県・大分県などに多くなっています。ただし、読み方は複数あります。

そもそも、「神田」の本来の読み方は「かみた」だと思います。しかし、地名や名字では「かんだ」と読むことが多くなっています。東京の神田明神も「かんだ」です。とくに東日本では「神田」さんの99%以上が「かんだ」と読み、それ以外は極めて少ないのです。

神田明神

神田明神


一方、中国地方以西では「かんだ」以外の読み方も多くなっています。

山陽地方から九州北部にかけてや高知県では「こうだ」が多く、佐賀県では過半数、高知県でも半数近くが「こうだ」さんです。高知県高知市内に「こうだ」と読む地名もあります。

沖縄県では「かみだ」が最多で、「神田」全体の3分の2を占めています。さらに広島県では9割近くが「かんだ」と読むものの、残りの1割強は「かみだ」「こうだ」「じんだ」「じんでん」と読み方が分かれているのです。

全国を合計すると、96%ほどが「かんだ」と読み、以下は「こうだ」「かみだ」「じんでん」「じんだ」の順となっています。いずれにしても、神社ゆかりの田んぼに因む名字です。
森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。

墨アート製作 書家・越智まみ(https://esprit-de-mami.com/

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写真提供/森岡 浩

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