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あなたは読める?蔦屋重三郎も関係する難読名字「雲英」

2025.12.03

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墨アート製作/越智まみ

名字の世界 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。連載一覧はこちら>>

難読名字:雲英(きら)

「雲英」と書いて「きら」と読む、大変珍しくかつ超難読の名字があります。

この名字の読み方を説明するためには、まず雲母(うんも)という鉱物から説明する必要があります。雲母はアルミニウム、カリウム、ナトリウムなどを含むケイ酸塩鉱物で、耐熱性や電気絶縁性があって平行に薄くはがれやすく、電気絶縁や耐熱材料の他、化粧品などにも使用されています。

古くは漢方薬にも使われたようで、比較的なじみのある鉱物です。この雲母のことを古くは「きらら」や「きら」といいました。キラキラと輝くことが語源だと思います。


江戸時代中期には、岩絵具に細かく砕いた雲母を混ぜて膠液で溶き、人物画の背地に使用することで、キラキラと輝かせる手法が生まれました。蔦屋重三郎が版元となった喜多川歌麿の美人大首絵や、写楽の役者大首絵に使われ、「雲英(きら)刷り」と言われました。

八ツ面山の「雲母坑址」の案内板

八ツ面山の「雲母坑址」の案内板


さて、愛知県西尾市の八ツ面(やつおもて)山は、雲母の生産地として知られていました。そこから、この付近は「きら」と呼ばれるようになり、やがていい意味の漢字をあてて「吉良」という地名となりました。

ここを本拠としたのが、清和源氏で足利将軍家の一族である吉良氏で、その末裔からは江戸時代に「忠臣蔵」で有名な吉良上野介が出ています。

西尾市には、この吉良氏の一族が建立したお寺がありました。

江戸時代、僧侶は正式に名字を持たない人達でした。しかし、明治になるとこうした僧侶たちも戸籍に名字を登録することが義務付けられます。そこで「きら」を名字とし、それに「雲英」という漢字をあてたのです。

現在でも西尾市などにあります。そして、幕末から明治にかけての仏教学者・雲英晃耀(きら・こうよう)や、近世俳諧研究の権威として知られた雲英末雄(きら・すえお)早稲田大学名誉教授など、著名な学者を輩出したことでも知られています。
森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。

墨アート製作 書家・越智まみ(https://esprit-de-mami.com/

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写真提供/森岡 浩

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