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関東以北に多い名字「須藤」。藤原氏とも関係が深い

2025.11.06

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墨アート製作/越智まみ

名字の世界 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。連載一覧はこちら>>

須藤(すどう・すとう)

「須藤」は下に「藤」がついて「~どう(とう)」と読みますから、「加藤」や「斎藤」などと同じく藤原氏の末裔が名乗ったものです。

藤原氏は一族の数が極めて多いことから、関係のある地名や役職の一部と藤原氏の「藤」をつなげて、「~藤」という名字を名乗りました。平安時代、藤原氏は「藤(とう)家」と呼ばれましたから、「~とう」「~どう」と読むことで、藤原氏の一族であることがわかったのです。

たとえば、「加藤」の「加」は加賀国、斎藤の「斎」は斎宮寮という役所に因んでいます。そして、「須藤」の「須」は栃木県那須の「須」に因むとされ、「地名+藤」でできた名字です。


しかし、「加藤」や「斎藤」等とは決定的な違いがあります。それは、「加藤」や「斎藤」が系図上からも藤原氏とのつながりはっきりしているのに対し、「須藤」と藤原氏の関係には明確なものがないのです。

一般的には藤原道長の六男で歌人として知られる藤原長家の孫資家が、賊を討った功によって下野国那須郡を賜り、須藤氏を称したのが祖といわれますが、残念ながら信憑性は低いのです。

そのため、那須地方に古代から勢力を持っていた那須国造の一族が、藤原氏と縁戚関係を結んで須藤氏を称したなど、いろいろな説があります。

いずれにしても、今の栃木県那須地方を本拠とした一族で、藤原氏とは関係の深い氏族であることは間違いないと思います。そして、那須与一で有名な那須氏とも極めて近い一族です。

現在は関東以北に多い名字で、群馬県、栃木県、山形県、青森県の4県に集中しています。なかでも、群馬県安中市や栃木県佐野市、青森県平内町には多くなっています。

一方西日本では、島根県や香川県、福岡県を除くとあまり多くありません。
森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。

墨アート製作 書家・越智まみ(https://esprit-de-mami.com/

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