連載「いのちに想う」10月 保全
ツシマヤマネコ
文=小林朋道(公立鳥取環境大学学長・動物行動学者)10月8日は「ツシマヤマネコの日」とされている。本種は、モンゴル、中国大陸、東シベリア、朝鮮半島などに分布するベンガルヤマネコの中の一亜種で(イリオモテヤマネコも同ヤマネコの一亜種である)、DNA分析によれば10万年ほど前、地理的に孤立した対馬で、独特の遺伝子変化が積み重なったと考えられている。
林業の普及により本来の生息地である広葉樹林等が衰退し、耕作放棄地が増えて野ネズミや野鳥といった餌も少なくなり、それに追い打ちをかけるように野ネコや野犬との競争、彼らから感染したと思われるネコエイズ、交通事故等により減少は続いた。
現在は対馬野生生物保護センターや、よこはま動物園ズーラシア等で、傷ついた個体の保護や繁殖等の対策が取られているが、野生個体群を存続させることができるかどうかはわからない。
10月8日、我々にできることは何か。その一つは、人類の命を守っている「生態系」という「生命維持装置」の一部である野生生物に思いを馳せ、たとえば自分が暮らしている地域の自治体が、あるいは日本が、生物多様性に富んだ生態系の保全にどのように向き合っているかを知ろうとすることだろう。
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