連載「季節の香りを聞く」10月〈志野袋〉紅葉
女郎花香(おみなえしこう)
小倉山峰立ちならし鳴く鹿の
経にけむ秋を知る人ぞなき古今和歌集──紀貫之──
選・文=蜂谷宗苾(志野流香道 第21世家元)秋の七草の一つ、女郎花を題材にした組香。朱雀院での女郎花合わせの際に詠まれた貫之の歌の折句(おりく)を使い、各句の頭文字を繫げた「を」「み」「な」「へ」「し」に香りを当てはめます。
解答は、もし「を」の香りと思えば「小倉山」と書き、「み」と思えば「峯立ちならし」と書き付けます。
歌意は、小倉山の峰を歩き回って鹿が鳴いているが、今までに幾秋あのようにして過ごしてきたのだろうか。ずいぶん長い年月であろうが、それを知っている人は誰もいない。
志野流組香には他にも同じ技法が取られたものに、唐衣/きつつなれにし/つましあれば/はるばるきぬる/たびをしぞ思ふ→か・き・つ・は・た(杜若)、更に難しい沓冠(くつかむり)折句として、逢坂も/はては往き来の/関もゐず/尋ねて訪ひこ/来なば帰さじ→あ・は・せ・た・き・も・の・す・こ・し(合わせ薫き物少し)などがあります。
~志野流組香 四十組-十二番~
写真/本誌・大見謝星斗
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