連載「千年の文様の教え」
10月「菊」
選・文=八條忠基(「綺陽装束研究所」主宰)能の演目『菊慈童(きくじどう)』でも知られるように、古代中国では菊に特別な霊力があるとされ、菊の花が浸かった水を飲めば、不老長寿の効果を得られると信じられていました。
菊丸(きくのまる)

小菊丸(こぎくのまる)
この説話が伝わった日本でも菊はその意味で尊重され、9月9日の「重陽(ちょうよう)」の宴では菊酒が飲まれました。また平安王朝の女性たちは前日8日の夜、菊花に真綿をかぶせ、9日の朝に朝露と菊の香りが染み込んだ「菊のきせ綿」で身を拭(ぬぐ)い、アンチエイジングを祈ったのです。そうしたことから菊をモチーフとした有職文様は数多くあります。
菊折枝(きくのおりえだ)

窠中八葉菊(かのなかにはちようぎく)
鎌倉時代初期の後鳥羽上皇は菊を愛し、その後に後鳥羽系皇統の象徴として歴代の天皇が菊花文を用いたことから、皇室の菊花御紋章が生まれて今日まで継承されています。
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