〔特集〕最新展示で命の躍動と不思議に出合う 大人が楽しい水族館・動物園 豊かな自然環境のもと、瑞々しい生命の息吹に触れられる水族館・動物園は、人生経験を重ねた大人が改めて学びや癒やしを得られるスポットとして今、注目を集めています。生き物が暮らす環境の再現や、アートのような演出など、非日常感を味わえる展示方法に魅力ある施設を中心に、全国から厳選してご案内します。
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私たちの未来を考える
五感で楽しむ最先端の水族館
──原澤恵太 (水族館研究家)
原澤恵太さん(はらさわ・けいた)経営学の観点から水族館の持続可能な運営を主な研究テーマとし、講演や経営支援、博物館学・水族館学の講義などを行う。法政大学経営大学院にて経営学修士(MBA)の学位を取得。修士論文は「水族館経営構造の体系化と持続的発展の考察」。
日本には大小含め100を超える水族館があり、「水族館大国」とも称されます。日本列島の自然が豊かなように、水中の景色も各地で異なり、多様性に溢れています。
1990年頃までは、大型の水族館がトレンドでしたが、近年はコンパクトな規模で、展示に趣向を凝らした大人向けの水族館が目立ちます。「癒やし」をキーワードに、空間そのものを楽しみ、落ち着いた雰囲気で海や川の中の営みを “アート鑑賞” する演出が増えてきました。
2023年に札幌市内にオープンした「AOAO SAPPORO」は、打ちっぱなしのコンクリートのモダンな内装で、パネルの文字解説は最小限。生き物の細かい模様や動きをゆっくりと観察して、五感で楽しむ工夫がされています。
パネルの文字解説は少なく、水槽内をじっくり観察できるよう考慮されている。写真提供/同館
厳選された関連テーマの書籍や資料もあり、そういったものに目を通すと、多様な生き物と私たち人間の社会との関係性を見つめ直す機会にもなるでしょう。
ペンギンがダイナミックな動きができるよう設置された世界初の六角形移動式ブロック。
また、AOAO SAPPOROでは、音楽やワイン、お笑いといった、一見海洋生物とは関係のないジャンルの専門家を招き、異なる視点から海の生き物について考えるイベントも開催し、新たな地域コミュニティの場にもなっています。
生き物たちの食事を準備するなど、バックヤードでのスタッフの仕事の様子が見られる。
閉館時間が22時なので、本を読んだり、テーブルでパソコンを開いたりと、思い思いの時間を過ごす人も多いようです。
館内では自由に飲食が可。パフェは人気メニュー。
近年は、地域コミュニティに向けて、川辺の散策や海辺の清掃活動を行ったり、ボランティア制度やサポート制度を設ける施設も誕生しています。近くにそういった水族館があれば、ぜひ覗いてみてください。
水族館が身近になると、暮らしの中で大自然の神秘に触れられるだけでなく、地球環境を取り巻く厳しい現実の理解にも繫がるでしょう。そういった日々の小さな気づきこそが、私たちの未来をより豊かで持続可能なものにしていくのだと思うのです。
AOAO SAPPORO住所:北海道札幌市中央区南2条西3-20 moyuk SAPPORO 4~6階
TEL:011(212)1316
開館時間:10時~22時(1時間前最終入館)
休館日:無休
入館料:大人2000円または2200円(時期によって変動) 年間パスポート6000円または9000円(入館可能時間が異なる)
(次回に続く。
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