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堀川理万子さん「一番身近な戦争体験者に話を聞くことから。残された時間は少ない」【戦後80年インタビュー特集】

2025.09.22

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子どもが何げなく語る中に隠れている戦争の不気味さ、戦争の影響の大きさ

直接戦争体験者の話を聞く何らかの機会があるとしたら、今やそれはとても貴重な機会であるに違いない。そしてもし堀川さんのように、両親や祖父母など戦争の話を聞ける肉親がいるなら、その話はさらに重みが増す。戦争を体験した人たちの談話は映像や音声で数多く記録されていて、聞きたいと思えば聞くことはできるが、自分と血の繫がった家族の戦争体験は、もしも両親や祖父母がその時代を生き抜いていなかったら、自分自身がここに存在しなかったという意味を含むからだ。

全作業を終えた後、堀川さんの中で戦争に対する見方が変わった。

画家として展覧会のための作品を制作する堀川さん。絵本制作後、血の色の赤は使えなくなった。

画家として展覧会のための作品を制作する堀川さん。絵本制作後、血の色の赤は使えなくなった。

「本当に変わりました。小さな子どもの何げなく語っていることが国家レベルのことに繫がっているという戦争の不気味さ、戦争の影響の大きさ。例えば『毎日遊んでいたブランコがある日突然なくなって悲しかった』という話の裏にあるのは、供出され戦争の道具になるということ。子どもたちが何も気がついていないだけに、底知れない怖さを感じるんです」


絵本より。「逆上がり」。広島の原爆投下直後、逃げる途中で鉄棒を見つけ、嬉しくなって遊ぶ子どもたち。

絵本より。「逆上がり」。広島の原爆投下直後、逃げる途中で鉄棒を見つけ、嬉しくなって遊ぶ子どもたち。

そして心身ともに疲れたともいう。

「話の重さもだし、戦争にかかわった人々のことを調べているとどうしても腹が立ってしまうんです。大本営とかもう本当に大嫌いです。軍国主義下で、個人というものは存在しなくて、天皇の名のもとにみんな存在している。そういう時代だったとしても、それはあんまりだろうって。しかも、私は絵や子どもが好きで子どもの絵本を作っているのに、なぜ自分の絵の中で子どもを死なせなければならないんだろうと。

だから本当に何度ももう無理かもしれないと思いました。でも、インタビューした方々が一様に『本が出ることを楽しみにしている』っていってくださるんですよね。今までたくさん本を作ってきたけれど、こんなに楽しみにされたことはなかったと思う。だからこの方々のためにとにかく本を完成させなきゃって、それだけでした」

絵本より。「ソ連の戦車隊」。満州で、日本軍とは異なる戦車が来るのを見て恐怖を覚える。

絵本より。「ソ連の戦車隊」。満州で、日本軍とは異なる戦車が来るのを見て恐怖を覚える。 もしかしたら戦争の体験を聞いてほしいと思っている人があなたの身近にもいるかもしれない。記憶の奥底にずっとしまわれていた話に耳を傾ける。その経験を無駄にしないという私たちの思いこそが、未来を変えるはずだ。

この記事の掲載号

『家庭画報』2025年09月号

家庭画報 2025年09月号

取材・構成・文/三宅 暁 撮影/本誌・大見謝星斗

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