連載「言葉の道しるべ」9月 充溢(じゅういつ)
選・文=ロバート キャンベル(日本文学研究者)幸福は長くたくさん降って欲しいもので多すぎるということを聞かない。政治家は「最大多数の最大幸福」を約束することで人気を集め、ポタポタでは票が集まらない。
スピルオーバーという言い方もあるが、一杯になった容器から液体がこぼれ落ちてしまい困ったと、やはりネガティブなイメージしか湧かない。私にとって「こぼれた」なら嫌な感じはしない。
ふと空を見上げると星がこぼれるように輝いていた夜とか、空港の到着口でこぼれる笑みで迎える友人との一瞬の抱擁などがありがたい。思いがけない「余り」はいつも、嬉しい。
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