連載「千年の文様の教え」
9月「唐花・唐草」
選・文=八條忠基(「綺陽装束研究所」主宰)有職文様は四季折々に咲く、さまざまな実在の植物がモチーフとなりますが、シルクロードを伝って到来した異国風の花文様や、空想上の花文様は「唐花」と総称されます。
唐花丸(からはなのまる)

唐花唐草(からはなからくさ)
その根源は正倉院宝物であることが多く、遙か西域の夢の国を想起させるエキゾチックな文様がルーツです。それが平安時代中期の国風文化の隆盛とともに和様化し、千年の歴史の流れの中で洗練されて「臥蝶丸(ふせちょうのまる)」のような代表的有職文様が生まれたのです。
臥蝶丸(ふせちょうのまる)・浮線綾(ふせんりょう)

唐花唐草(からはなからくさ)
同じく西域由来の「唐草」は、エキゾチックであるとともに無限の繁栄を意味する連続文様であるため特に愛され、ツル性植物ではない松や桐などもツルのある唐草文様としてデザイン化されています。正倉院宝物にも多く見られ、現代も風呂敷の柄として知られます。
・この連載の一覧へ>>