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文字通り鹿をたくさん討ち取った「鹿討」家。ただし読み方は「しかうち」ではありません

2025.09.29

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墨アート製作/越智まみ

名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。連載一覧はこちら>>

難読名字:鹿討(ししうち)

岩手県にある珍しい名字で、南部藩士に鹿討家がありました。

この鹿討家、「しかうち」ではなく「ししうち」と読みます。実は古代では「鹿」と書いて「しし」とも読んだのです。

竹筒に水を流し入れ、一杯になると頭が下がって中の水を流し、元に戻る際に石にあたって音を出す装置のことを「ししおどし」といいます。今では庭園にある装飾となっていますが、本来は音で鹿などの獣を追い払う装置で、「鹿威し」と書いて「ししおどし」と言ったのです。


ではなぜ「鹿」と書いて「しし」なのかというと、古い時代には肉のことを「しし」といい、食用になる動物のことも「しし」といったからです。

現代では食用になる肉は牛や豚、鶏などですが、古代は鹿と猪が中心でした。そこから鹿や猪のことを「しし」ともいったのです。そして鹿は「かのしし」、猪は「いのしし」として区別されるようになり、次第に「かのしし」という言葉は使われなくなりました。

それでも、「鹿」と書いて「しし」という読み方は残り、「鹿威し」などに使われているのです。

南部藩士の鹿討家は、先祖が遠野で9頭の鹿を討ち取り、殿様から「鹿討」の名字を賜ったと伝えています。
森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。

墨アート製作 書家・越智まみ(https://esprit-de-mami.com/

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