徳川家康の正室も「関口」氏の生まれ。「せき」には地名にまつわる2つの意味が

名字365　姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも？知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。連載一覧はこちら＞＞

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関口（せきぐち）

「関口」とは「関の入口」に因む地名由来の名字です。旧字体を使用して「關口」とも書きますが由来は同じです。

「関」とは関所のことですが、それにしては「関口」はたくさんあります。関所はそんなにたくさんはなかったでしょうし、そもそも関所の入口に住んでいる人は多くないと思います。

さらに東海道などの五街道を除くと、関所は領土の境界である山の中など人里離れたところに設置されることが多く、やはりあまり人家のある場所ではありませんでした。


では、「関口」の「関」は何を指しているかというと、川から水田などに水を引くための「せき（堰）」を指しているものが多いようです。

「せき」の取水口が「せきぐち」で、「堰」という漢字が難しいため、より一般的な「関口」という漢字で代用しました。

こうした「関口」は地名にもなり、そこから生まれた地名由来の「関口」という名字もあります。

徳川家康の正室として知られる築山殿は、今川氏の一族で三河国宝飯郡関口（現在の愛知県岡崎市）に因む関口氏の出です。

現在は関東甲信地区に多い名字で、とくに群馬県東部から栃木県南部にかけて集中しています。

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森岡浩／Hiroshi Morioka
姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。

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